第18話、メイド神、ニャルラットホテップ

 黒髪を丸くまとめ、黒縁眼鏡をした凛としたメイドが、


「百八あるメイド殺法さっぽうその22、”メイドヨガファイヤー”ッ」


「ヨガッ」


 口から火を吹いた。

 紅く燃える火炎球が、地面から顔を出していた、”ロックワ―ム”に飛ぶ。


 サッ


 まるで水族館にいる、”〇ンアナゴ”のように地面に顔を隠す。

 別のロックワームが、メイドの足元から襲い掛かった。


「「百八あるメイド殺法さっぽうその43、”メイドジャンプ」」

 ルリとアレクの声が重なった。


 メイドは空へ、メイ竜騎士ドラゴンナイトは、飛竜の背中からメイドのいた場所へ。


「メイ竜騎士ドラゴンナイト体型フォームっ」

 アレクは、専用のインベントリから一瞬で装備を装着。


「百八あるメイド殺法さっぽうその23、”メイドヨガフレイム”ッ」

 

「ヨガッ」


 ボオオオオオオ


 空中に飛んだルリの口から、火炎放射器のように炎が噴き出された。

 炎が地面を舐める。

 しかし、炎が近づくとロックワームは地面に顔を隠した。

 しかも、ルリの着地地点に複数のロックワームが顔を出す。


「むっ」


「任せろっ」

「メイ竜騎士ドラゴンナイト戦技、”ドラゴンチャージ”」


 ズドオオン


 踏み込んだ足の地面に穴をあけながら、アレクがランスチャージ(槍突撃)。

 ルリの着地地点を確保する。


「ありがと、アレクさん」

「無事ですか、ルリ様」

 二人は背中合わせに。


「らちが開かないわね」


「百八あるメイド殺法さっぽうその40、”メイドヨガセッカン”」


「ヨガッ、ヨガッ、ヨガッ」


 ルリが、ロックワームの首をつかんで拳で殴る。


「混沌をつかさどるメイド神、”ニャルラットホテップ”様の元に逝けっ」


 ちなみに、別名、”這い寄る混沌”、”ナイアーラトテップ”もしくは、”ニャルラットホテップ”。

 砂漠のスフィンクスの地下にある、”メイドの穴”本部に祭られているぞ。

 スフィンクスの顔は一度作り直されている。

 スフィンクスは、昔”ニャルラットホテップ(ニャ〇子さん)”の顔だったのだ(キリッ)。(←クトゥ〇フーの公式設定)


 ルリがぐったりしたロックワームを無造作に捨てる。


「ふむ、らちを開けようか」

 アレクだ。

龍技ドラゴンスキル、ドラゴンスタンプッ」

 ドラゴン固有の技(スキル)である。

 メ〇ドラゴンの血を引くと言われる、メイドスキー王家にしか龍技(ドラゴンスキル)使えないと言うことを、ルリは覚えていない。

 ”メイドの穴”の授業で習っているのだが。

 

 トンッ


 アレクが軽い音を立てながら地面を踏んだ。


 ブワアア


 白い光を放ちながら、踏んだ部分を中心に、龍の気が円状に広がっていく。


「えっ」 

 ――私のメイド紋が反応した。

 ルリの足元を通った時、ルリの左手のメイド紋が一瞬光る。

 まるで、”ささやく”ような輝きであった。


 ギイイエエエエエ

 ギャアアアアアア


 龍の闘気を浴びて、錯乱しながらたくさんのロックワームが、地面に飛び出してきた。


「今ですっ、ルリ様っ」

 アレクがルリに背中越しにいう。


「……ふふっ、ルリで良いわっ」

 ルリが背中を預けたアレクに言った。


「では、ルリさん」

 目の前には、錯乱して、地面に出てきたロックワームの群れ。


「百八あるメイド殺法さっぽうその30」



「メイドオオオオオオオオオ、レーザアアアアアアアアアアアア」



 二人は、ロックワームの群れを蹴散らした。

 





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る