第17話、メイドヨガテレポート
今自分は、ルリさんと出会った街にいる。
この街を拠点にして付近の町や村に、メイドさんを探しに、もとい、行商に行っているのだ。
行商に行ってしばらくぶりに街に帰ってきた。
ギルドの酒場を見回す。
「おや、ルリ様はいないのですね」
ギルドの受付嬢である、エリザベスに聞いた。
大体、お茶をしているのだ。
「行き違いになったようね」
「緊急ミッションが起きたのよ」
エリザベスが答える。
「緊急ミッションですか?」
「そ、魔鉱石の鉱山都市の山道に、土砂崩れが起きてね」
「土砂崩れの調査と支援物資を届けに行ったわ」
メイドインベントリは優秀である。
――ルリさんのインベントリなら倉庫一戸分くらいは入るのでは
「そういえば」
「あなたもインベントリ持ちよね」
「はい」
――飛竜との契約によるものだが
「追加の支援物資を運んでいただけないかしら」
商人だが一応、冒険者登録はしているのだ。
「ルリに会いたいのでしょ」
「飛竜なら追いつくわよ」
「……わかりました、行ってきます」
裏にある運動場で支援物資を受け取る。
ブワサッ
自分の飛竜であるジラントにまたがり、街を飛び去った。
◆
ジリリン、ジリリン
その時、ギルドのモールス信号が鳴った。
エリザベスがモールス信号の装置をカウンターの上に出す。
耳にヘッドホンを当てた。
ツー・トン・ツ―
「ふんふん」
モールス信号を読み取り、紙に書いていく。
「何ですってえ」
「……土砂崩れは未確認のモンスターが原因かもしれないと……」
――ルリが危ないっ
バッ
エリザベスは、外を見上げる。
小さくなっていく飛竜の背中を見た。
「ルリを頼むわよ、メイ
商人にメイド
アレクの正体がメイ
◆
「う~ん、なんか嫌な予感がするなあ」
バサリ、バサリ
今自分とジラントは、鉱山都市に通じる街道の上を飛行している。
「行商先の噂では、山で大雨とか降ってないんだよなあ」
――土砂崩れの原因は何だろう?
街道上をルリさんを探しながら飛行。
さすが、ルリさんクラスのメイドだ。
飛竜の翼を持ってしても追いつけない。
街道は、山道の分岐に入った。
魔鉱石は重要な資源。
山道と言っても、馬車二台分くらいの広さがある。
「ふ~む、なおさら土砂崩れはあやしいなあ」
山道の左右を高い山がそびえる。
土砂崩れが見えて来た。
「あっ」
メイド服の女性を見つける。
ルリさんだ。
山道は、土砂崩れで岩だらけである。
「ルリ様っ」
飛竜の高度を下げてルリさんに声をかけようとした。
その時、
ガラリ
ガラガラッ
周りの岩から細長いものがたくさんそそり立った。
「「ロックワームッッ」」
二人は同時に叫んだ。
メイドの境地はヨガの境地にも通ずるっ(キリッ)。
「くっ、百八あるメイド
「ヨガッ」
ルリさんが空中で半跏座を組んだ。
少し離れた所に現れる。
「うおお」
自分はジラントを急上昇。
ギチギチと丸い口の中の牙を鳴らしながら、複数のワームが追いかけてくる。
逃げ切った。
「群れだっ」
空から、岩の間をたくさん動くワームを見る。
土砂崩れの原因は、ロックワームの群れだった。
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