第32話
行きたくないけれど学校に行く。
何も変わっていないフリをする。
金曜日が来るのが怖い。
もう今までの自分とは違ってしまう。
クラスメートの誰も、わたしと同じ思いをしている人はいない。
心春が彼氏とデートした時の話を聞かせてくれた。
こんなに羨ましいと思ったことは今までなかった。
わたしだけがみんなと違ってる。
お昼休憩にスマホが鳴ったので、見ると遼からだった。
「ごめん、金曜日、どうしても行けなくなった」
「ど……して……?」
「仕事で……頼んでみたんだけど、オレが抜けるのは絶対にダメだって言われて。ごめん……」
どうにか来ようとはしてくれたんだよね?
そんな言葉に、まだわたしはすがって……
「わかった。いいよ」
「また連絡する」
「ん……」
自分の身は自分で守るしかない。誰も助けてなんかくれない。
どんなに泣いても過去は変えられない。
何度同じ言葉を呪文のようにつぶやいたかわからない。
夜、自分の部屋で、布団にくるまって泣いた。
朝が来れば、また普通に学校へ行き、友達とふざけあって、お弁当を食べる。
怖い。
何度も遼へメッセージを送ったけれど、既読すらつかなくなって、当然返信もない。
怖いよ。
遼と話したかった。
せめて優しい言葉が欲しかった。
勇気を出して電話をしたら、いつまでもコールされるばかりで、そのうちあきらめた。
嘘つき。
連絡するって言ったくせに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます