第27話

遼から連絡がないまま、悪夢のような時間が過ぎて、ようやくメッセージが届いた。



<今実家にいる 連絡遅くなってごめん>



実家ってことは九州にいるってこと?



<何かあった?>

<いつこっちに帰って来るの?>

<当分無理>

<大事な話がある>

<何?>




こんな時に……どうして遠いとこにいるの?


遼は何も知らないんだから仕方ない。そんなのわかってる。


でもね、そばにいてほしい。


「大丈夫。何も心配することないよ」って、言ってほしい。


ぞわぞわと背中の方から身体中によくわからない何かが取り憑いている。


返事を返せないでいたら、電話がかかってきた。



「ごめん、あんまり長くは話せない亅


「どうして?亅


「そっちに帰った時話すよ亅


「それっていつになる?亅


「ごめん亅



謝ってばかり。



「あのね……亅



言わないと。



電話の向こうで誰かが遼の名前を呼ぶ声が聞こえた。



「ごめん、行かないと。また電話する亅



かすかに聞こえた遼の名前を呼ぶ声は、女性のものだった。



誰?


そのひとは誰?




それからまた遼から連絡はなくなった。


わたしのお腹の中の命は、どんどん大きくなっている気がして、怖いのと不安で、壊れてしまいそうだった。

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