第21話
高校生だと言えないまま、付き合い始めて2ヶ月が過ぎた。
お盆になると、両親は親戚の人の法事があるということで、祖父母の家に泊まりがけで行ってしまった。
わたしは、会ったこともない人だったし、夏休みに入ってから一応通い始めた塾があったため、一人でこっちに残った。
無知は罪。
自分の身を守るのは自分しかいないのに。
学校では教えてくれなかったことを、みんなはどこで知るんだろう?
遼のマンションに行くのは3回目。
手を繋いで一緒に映画を見たり、ご飯を作って食べたりしただけで、まだキス以上はしたことがなかった。
「今日ね、ずっと一緒にいられるよ。朝まで……」
「……それ、意味わかって言ってる?」
「ん」
「やば……緊張する」
「そんなこと言ったら、わたしの方がもっと緊張するんだけど?」
遼がずっと笑顔でいるから、その顔を見て、わたしも笑った。
一緒にご飯を食べて、いつもみたいにテレビを見て、夜中の12時を過ぎても、その先の言葉が言えなくて、2人でゲームをしたりしていた。
1時前になってようやく遼が聞いてきた。
「先にシャワー使う?」
「うん……いい?」
「どうぞ」
そこからは、ずっと心臓がどきどきしていて、あまり記憶にない。
でも、「電気、消して欲しい」と頼んだら電気を消してくれて、真っ暗になった部屋で、遼が最初に言ってくれた言葉は覚えている。
「こんなに誰かを大切だと思ったのは初めてなんだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます