第6話「ライバル登場」



マジカル・マーケットの中央広場に、一台の豪華な魔法馬車が滑り込んできた。


「あれは...!」

アイリスの表情が強張る。

「クロード・マネー。最大手の魔法商会『黄金神殿』のトップトレーダー」


馬車から降り立ったのは、金色の長髪を持つ貴公子。その右目には、コウと同じような特殊な輝きが宿っていた。


「やあ、アイリス君。そして...新入りの転移者くん」

クロードは優雅に歩み寄る。


「あなたも...『魔眼』の力を?」

コウが警戒しながら問う。


「『価格支配の魔眼』。市場を意のままにコントロールする力さ」


「市場を...支配?」

リザが眉をひそめる。


「そう。今回の暴落も、私の手腕の一つさ」

クロードが不敵な笑みを浮かべる。


「どうして!?」

セシリアが食い下がる。


「古い体制は壊れるべきなんだ。そして、新しい支配者が必要となる」


「でも、それじゃあ...」

エリカが記憶の断片を必死に探る。

「また、あの時みたいに...」


「おや? 君は...」

クロードの表情が一瞬、動揺を見せる。


「危険ピコ! この男の魔眼、とても強力ピコ!」

ピコが警告を発する。


コウの左目が疼く。「市場予知の魔眼」が、未曾有の相場変動を予測していた。


「見せてあげよう。本当の市場支配とは何かを」


クロードが右目を輝かせた瞬間、街中のホログラム表示が狂ったように点滅を始める。


「まさか、強制的に価格を...!」

リザが驚愕の声を上げる。


「私の『契約魔法』で防げるかも...!」

セシリアが水晶を掲げる。


「だめ、力が強すぎる!」

アイリスが叫ぶ。


その時、エリカの直感が働いた。

「あっ! この流れ...!」


コウは即座に理解する。

「エリカさん、その感覚を!」


二人の力が共鳴した瞬間、予想外の展開が起きた。


「なっ...私の『価格支配の魔眼』が...!」

クロードの表情が歪む。


「見えた...」

コウが静かに告げる。

「あなたの背後にいる、本当の黒幕が」


市場の混乱は、まだ始まったばかりだった。

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