第5話「市場暴落の危機!」



「緊急速報です! 魔力相場が急落! 各地で取引停止が相次いでいます!」


街頭のホログラム掲示板が緊急ニュースを流す中、コウの左目が激しく疼いていた。


「この暴落...人為的なものですね」

取引画面を見つめながら、コウが断言する。


「よく分かったピコね!」

ピコが驚きの声を上げる。


アイリス邸の地下室。リザが魔法端末を高速で操作している。

「侵入者を検知...これは!」


「私の記憶が...!」

突如、エリカが頭を抱える。

「大きな建物...そこで、何かを...」


「エリカ! 大丈夫?」

アイリスが駆け寄る。


「建物...?」

セシリアが思案顔で古い文書を広げる。

「もしかして、『古代取引所』のこと?」


「古代...取引所?」

全員の視線がセシリアに集まる。


「伝説では、かつてこの地に巨大な魔法経済施設があったとされています」


「調べてみるピコ!」

ピコが古文書を次々とスキャンしていく。


「見つけた!」

リザが叫ぶ。

「地下深くに、データが...でも、この暗号は...」


その時、エリカの瞳が突如として輝きを放つ。

「2-4-7-1...」


「これは暗号解読のキーピコ!」

ピコが興奮気味に舞い踊る。


画面に次々と浮かび上がる情報。

そこには、衝撃の事実が記されていた。


「これは...」

コウの表情が険しくなる。

「1000年前、この世界でも大暴落が起きている」


「しかも、今回と全く同じパターン...」

リザがデータを解析する。


「私の『契約魔法』が反応します」

セシリアが水晶を掲げる。

「この暴落、古代魔法の力が関わっているわ」


「じゃあ、エリカの記憶も...」

アイリスの言葉が途切れる。


地下室の空気が一瞬凍りつく。

次の瞬間、警報が鳴り響いた。


「注意警報! 魔力相場、新値下げ。取引全面停止の危機!」


「間に合わない...!」

リザが焦りの表情を見せる。


「いいえ」

コウが立ち上がる。

「僕たちには、まだチャンスがある」


「市場予知の魔眼」が捉えた、かすかな希望の光。

それは、誰も予想していなかった方向から差し込んでいた。

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