第7話「隠された真実」



「思い出した...私、あの時...」


エリカの言葉に、地下室にいた全員が息を呑む。


「古代取引所...そこで、私は『全てを無に戻す』スイッチを...」

エリカの瞳から涙が零れ落ちる。


「まさか、エリカも転移者なの?」

アイリスが駆け寄る。


「しかも1000年前から...」

リザがデータを確認する。

「古代魔法による時間停止...?」


「それで記憶が曖昧だったのね」

セシリアが理解を示す。


その時、リザの魔法端末が激しく反応する。

「これは...!」


画面に浮かび上がる衝撃的な情報。

リザ・クリプト、本名:リザベート・フォン・クリプタリス。古代取引所の最後の管理者の末裔。


「リザ...あなた」

アイリスが言葉を失う。


「ごめんなさい、隠してて」

リザが俯く。

「私の家系は代々、古代取引所の秘密を守るよう命じられていたの」


「だから、あんなに高度なプログラミング技術を...」

コウが納得する。


「でもピコ! まだ何か隠されているピコ!」

ピコが不安げに告げる。


「ええ」

セシリアが古い書物を開く。

「私の家系に伝わる『秘録』によると...」


その時、エリカが突然、強い光に包まれる。


「エリカ!」

全員が駆け寄る中、彼女の記憶が鮮明に蘇っていく。


「私は...」

エリカの声が変わる。

「『均衡の管理者』。市場の安定を守るため、未来からやって来たの」


「未来...!?」

コウの左目が反応する。

「これは、予知できない未来の流れ...」


突如、地下室全体が振動を始める。


「警告! 古代取引所、始動の兆候あり!」

リザの端末が警報を発する。


「クロードの『価格支配の魔眼』が、古代のシステムを刺激している!」

コウが事態を把握する。


「このままでは、1000年前の悲劇が...!」

エリカの警告が響く。


室内の魔法装置が次々と起動を始める中、新たな戦いの幕が上がろうとしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る