気が置ける人
「おはよう」「おっはー」「はーいおはよう」「おはよう!」
日課の運動から帰ってくるとなんか気の抜ける家族からの挨拶。
まぁ朝だしそりゃそうか。とりま配膳の手伝いだ。
『『『いただきます』』』「いふぁふぁきます」
俺の家は俺、兄貴、母さん、親父の4人家族だ。数年前から。
挨拶の前から口にもの詰めてるアホ兄貴が、毎度の如く母さんに詰められてる光景を
肴に飯を食う。親父はニュース見ながら俺と駄弁る。俺は浮いてないだろうか?
高校へは電車なので結構余裕を持って出る。ただ駅まではチャリだからわりと急ぎ
過ぎかも知れない。まぁ会話時間延びるよりはいいけどさ。
ところで、俺には少し珍奇な趣味がある。
人間観察だ。相手の本心を想像して当たり障りのないよう接する方法として、あるいは個人的な好奇心として続けている。とは言っても表裏の差が激しそうだな、
とか触れて欲しく無さそうな話題を推測する程度で大抵満足している。
ただ、そこまでいっても。何故かもっと探りたくなる人が居る。多分、理由は
憧憬と。既視感。「見覚えあるんだよなぁ...誰か似たような奴居たっけ...?」
そんなぼやきと共に教室に入る。新学期と言う事で変なスイッチが入り、いつもより
一時間早く来た。誰も居ない教室でゆk...
人居るわ。しかも例の人だ。生徒会役員。努力家であらゆる人と仲良くできる。
美人。俺の憧れで多分...好きな人。
そんな人が今、普段とは程遠い、俺の知りたかったモノを。
隠していたのであろう本心を曝け出した、世の全てを信じていないような貌で。
見覚えどころか身に覚えのある、「僕」のような貌で。
俺を見た。
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