第3話
あれから数日が過ぎ、俺は何気ない日常に回帰しつつあった。
用事があれば連絡する、それまで待てと、彼女が言っていたのでそれに従う俺。
そして…、俺はまた、夢であの列車の中にいる。
「君は…」
彼がそう言う。
「ーーー」
彼が何かを言っている。
「雨が、降る…」
彼がそう言った、
そこで目が覚めた。
ふと、部屋の隅に向ける視線に飛び込んできたのは、剣…。
溶けた氷の跡にあるのは…、
まるで祭壇のように並んだ、細身の7本の剣、そして弓のような形状をした、大きな1つの剣…。
「これが、俺の剣…」
そのうちの一つを手にとって、振りかざす。
それが氷の軌跡を描いて、瞬いた。
…我ながら、少し驚いた。
しばらくそうしていると、
「こんにちわ」
突然、どこからかそう聴こえた。
慌てて辺りを見回す俺。
「僕です、僕」
声のする方に目を向けると、
「ふーん、君が僕の主かぁ…」
剣が喋った…。
「こんにちわ」
独特のイントネーションで剣は話す…。
「よろしくね」
「よ、よろしく…」
なんと、剣が喋るようになった。
(喋る剣、どこかで耳にした事がある設定かもしれない。)
昼休み、俺はまた、学校の屋上にいた。
剣は透明になる事に加え、宙に浮くようになった。
流石に8本も持ち歩くのは無理だと思っていたから、まあ良かった。
そこに偶然、大室がやって来た。
「君、それ、何…?」
彼女は驚いてそう言った。
□□□
「剣が変形した…?」
「ああ。最初は小さな短剣のサイズだったんだ」
それを聞いた彼女は訝しげな顔をして、
「そんな例は聞いたことがないわ」
と言いながら俺の剣の一つを手に取った。そしてそれを空にかざす。
「これは…」
「どうした?」
「これ一つで、私の剣の3割ほどの力があるのを感じる…、それが7本…」
「それって強いのか、そうでもないのか、どっちなんだ?」
数字的にも微妙なところだった。
「あに言ってんのよ…!私の剣はクラスA++よ!」
Aに++がついて、A++…。先日の俺の剣はA−…。
なんだかAクラスの安売りな気がする。
「まあ、とにかく…、力強いわ」
「そうか…」
少年漫画のように、腕を組む俺たち。
「私たちが組めば敵なしよ!」
「あ、ああ…」
こうして俺たちは仲間になった。
アイスエッジ 糸式 瑞希 @lotus-00
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