第13話

 くそう…せっかくの初日を楽しみにしてたのにマリアライトさんからの…正確にはトリトンさんからのもっと正確に言えば国王陛下から私への招集命令だ。まぁ金貨5枚を殿もらえたので問題はないが。


「マリア…いや、第一王女殿下。一つお聞きしたいのですが何の御用で呼ばれるのでしょうか。もしかしてどこかが攻めてきたとか…」


「昨日みたいに接してくれていいのだけど?まぁそれは置いておくわ。おおむねは正解ね。っともう王城についたわよ。ついてきて」


「いえ、しっかりと区別はつけるべきなので」


 その言葉を聞いたマリアライトさんは「そう」とつぶやいて黙々と歩いていた。ただ私はざっと王城を見渡すのだが全然戦いを想定してないつくりの城だった。


「お父様、アヤを連れてまいりました」


 そういって扉が開けられると同時にトリトンさんを睨んだ。


「…アヤ?なにをそんなににらんでるのだ?」


「第一王女殿下はお詫びにと金貨5枚を自分の懐からもらったのですが国王陛下はお詫びの金貨どころか謝罪の一言もないんですね。人の開店初日をつぶしておいて」


「い、いや本当にすまなかった。金貨50枚をお詫びにやる。だからこの国に力を貸してくれ!!」


「えぇ謝罪の言葉は受け取りました。ですがお金に関してはあとからでいいです。どうせどこかの国が攻めてきたんでしょう?宰相様、兵力はどのくらいですか?」


 この国を心配していった言葉なのだが、想定より冷たい言葉を突き付けてしまい必死に土下座しているトリトンさんは置いておいて私はローランさんに尋ねる。


「一つの国が攻めてきたわけではないのです。実は周辺国が連合を組みその兵力は55万、対する我が国の兵力は1万ほどです。昨年の災いで19万もの兵が亡くなるか動けなくなってしまいいまだに立ち直れていません。我が国の貴族の私兵を加えても5千ほどしか増えないでしょう」


「そうですか。ありがとうございます。はっきり言います、この王都に全軍を集めてください。いや、私の店にお願いします。私の空間魔法で地下を拡張してあります。今すぐすべての物資をもってきてください。この王城じゃ1日も持ちません。あぁできれば貴族様たちには領地の冒険者も連れてきてもらいたいですね。急いでください!!」


「ローラン、これよりこの防衛戦争におけるすべての指揮権をアヤに預ける。総大将は私だが何も口出しはせん。アヤの言った通りいたせ」


「畏まりました。では私はこれで」


 そう言い残してローランさんは部屋を出て行った。あぁ敵を挑発するのにいいものを使おう。


「陛下、王都の民がすべて店に避難したあと少し王都の構造を作り直してもよろしいでしょうか?このままでは余計な家が略奪され復興が遅れます。なに、店を王都外に少しだけ来るようにして屋根には国王トリトンここにありと書かれた旗を掲げるだけです」


「もうすべて任せる。家が壊される民には支援しようではないか」


 あ、もうトリトンさんは疲れ果てているみたいだ。

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