第24話 ゲロリン2号

「ねぇ、おばあちゃん!サヨコさんを探さなかったの??」

「アキ、あの頃はね、あの病気の人は噂になれば居場所を変えるしかなかったのよ。でなきゃ、海の離れ小島の療養所に入るのよ。そしたら、二度と戻れないのよ。たぶん、サヨコさんが住んでる事が知られたんだろうね。」

「やだ!ゲロリンが泣いてるわー!」クニ姉ちゃんがデカい声で叫ぶと耳が痛い。

「あちきは、あちきは、、、。サヨコさんの寂しさがわかるでありんすよ。

あちきもひとりでしたから、、。」

「やだ、、、。ゲロリン、、、。」クニ姉ちゃんも泣いていた。


こうして、お化け屋敷の探検は終わった。

ゲロリンは庭に小さな池を作って蓮の花を浮かべてる。それを慈しむように見ては手を合わせて拝んでる。

きっと、サヨコさんの幸せを願ってるんだと思った。


ゲロリンんちには何故かクニ姉ちゃんがいつもいるようになった。

くそっ!邪魔なクニ姉ちゃんと思うんだけど、ゲロリンが幸せそうだったからいいかって思った。


何年かしてゲロリンとクニ姉ちゃんは結婚したんだ。そしてね、ゲロリン2号が産まれたんだ。ゲロリンそっくりの男の子だった。

五月晴れの真っ青な空に向かって、ゲロリン2号を抱っこしたゲロリンは

「ゲロリン星人のおとうさーーん、人間のおかあさーーん、サヨコさーーん!

あちきはお父さんになりんしたでありんすよー!」と報告していた。


私達は高校生になっていた。

ゲロリン星人なんていない事はもうわかっていたけど、ゲロリンがそう思ってるならそれでいいんだと思った。

オサムちゃんはあの話を聞いてから医者になるって決めた。

イッチは、美味しいコロッケの作り方をお父さんから教えてもらってる。

ロクは歳をとってお店の前で居眠りしてることが多くなった。

私は一人暮らしが危なかっしくなってきたおばあちゃんと一緒に暮らしてる。


これからも、ずーと仲良くしようね、ゲロリン。







  了






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