第18話 川口探検隊の見過ぎじゃない?

ベルの定休日は日曜日なんだ。その日にしてってクニ姉ちゃんが言い張るから、ゲロリンんちに行くのはその日になった。


怪しまれないようにおばあちゃんんちで集合にしたの。

クニ姉ちゃんの格好を見て、唖然とした。どこから手に入れたのか?黄色のヘルメットとニッカポッカに地下たび、リュックサックを背負って、手にはシャベルとロープを持っていた。川口探検隊みたい。

「なぁ、姉ちゃん、どっかに工事でも行くのかぁ?」イッチが聞くと

「何言ってんだよ!お化け屋敷の下を掘り返すんだからね!あんた達そこ、そんな普段着でどういうつもりなの!!」クニ姉ちゃんは真剣だ、、、。

「あのね、私達はゲロリンんちに遊びに行くだけなのよ。トンネル掘りなんてする気ないもーーん。」

「そうだよ、クニ姉ちゃん危ないよ。いくら、力持ちのクニ姉ちゃんでもあの地面を掘り返すなんて無茶苦茶だよ。」オサムちゃんも止めてくれた。

「いやよ!子供の頃からの夢だったんだからね。真相を明らかにするのが私に与えられた使命なのよ。」強情な娘である。

私達は勝手にすればいいと思いながらゲロリンんちに案内した。

「ゲロリーン!」私は庭から声を掛けたんだ。

「はぁーい!」と声はするけど、出てこないんだ。どうしたんだろって。

家の中に入って2階に上がっていったの。

「誰!あんた誰なの?泥棒ねー!クニ姉ちゃんーーー!泥棒がいるぅーー!」

その雄叫びでクニ姉ちゃんやイッチ、オサムちゃんは駆けつけた。

一斉に皆んなで襲いかかって泥棒はクニ姉ちゃんの持って来たロープでぐるぐる巻きにされた。

「あんた!ゲロリンさんちに泥棒だなんてふてえ野郎だね。私達がいたのが運の尽きだよ。ふふん。」クニ姉ちゃんは不敵な笑いをする。

「あちきは、泥棒じゃありんせん。ゲロリンでありんすよぉ。」

ゲロリンだって?アレ、、。確かに喋り方はゲロリンだ。でも、、、。

「嘘つけやーい。ゲロリンはそんな髪の毛は黒く無いし、七三分けにしてないぞ!

服だって白いシャツに青いパンタロンなんか履かないぞ!」

「そうよ!それじゃ、まるでフォリーブスの江木俊夫みたいじゃない!」と言いかけて、気がついたの。クニ姉ちゃんが江木俊夫のファンだってゲロリンに話した事をね。

「そーいうことかぁ。ゲーローリーン?」私はゲロリンの顔を覗き込んだ。ゲロリンは恥ずかそうにうつむいた。

「えっ?この人ゲロリンさんなの?いつもと全然違うんだもん。でも、確かに話し方とかそうよね。こりぁいけねぇ、サッサっとロープをほどかなきゃー。」

イッチとオサムちゃんにはコッソリと、クニ姉ちゃんが江木俊夫の事が好きだから真似したんだって話した。

「あーうーん。ゲロリンはいつもこんな感じなんだよね。外出する時は恥ずかしがり屋だから帽子にマスクにコートなんだよね。」オサムちゃんは取り繕うのに必死。

「そうなのね。ごめんなさい、ゲロリンさん。アキが泥棒ーって言うから。でもとても似合ってると思うわ。」

クニ姉ちゃんに褒められたゲロリンはクネクネしてる。恋する乙女みたい。

「ゲロリンさん!じゃあ、宇宙船探しにご協力をお願いします!」

「あ、はいはいでありんすよ。クニさんどこでも掘り返してくだしゃんせ。」

ゲロリンの言葉に歓喜したクニ姉ちゃんは目を閉じて考えたあげく、庭の真ん中をシャベルで掘り出した。

「ねぇ、オサムちゃん、どう考えてもさ、テキトーに掘ってるよね。性格が出るよね。」私はオサムちゃんに言った。

「うん、そうだね。まっ、クニ姉ちゃんの好きにさせるのが一番だよ。気が済めばいいんだからね。」

「みんなは手伝わないんでありまんすか?」

「やだよぅー。なっ、ロク。宇宙船なんてある訳ないもんな。」

いつもなら、ゲロリンの背中におんぶされたがるロクなのに今日は近寄りもしない。

「じゃあ、あちきが手伝いましょう。シャベルはあったと思いやす。」

ゲロリンはせっかくのオシャレしたのに、庭のトンネル掘りに付き合うことになぬたの。

私たち?人生ゲームで盛り上がってたのよね。

がんばれー!クニ姉ちゃん、ゲロリン!

大人のくせにーー!クモンガどう思うよーーーっ。








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