第16話 ホットケーキはベルだよね。

その日、布団の中で考えたの。ゲロリンはずっとひとりでやって来たんだよねって。もしかしたら、ビニコさんはたったひとりの家族だったのかも知れないって。

もし、クニ姉ちゃんとゲロリンが仲良くなれたら、、、。ゲロリンは独りぼっちじゃなくなるかも知れない。

ゲロリンが幸せになるのかな。だったら、ゲロリンの応援しなきゃって思った。

優しくてヘンテコな子供みたいなゲロリンは見かけだけで怖い人だって思われたりしてきてんだよ。きっとね。本当のゲロリンは違うのに。

明日、オサムちゃんやイッチにもこの話をしよう。そんな事を考えてるうちに私はぐっすり眠ってた。

翌日は日曜日。オサムちゃんとイッチと三人で、ゲロリンの恋について話しあった。

「昨日の夜にね、考えたの。ゲロリンの恋を実らせたいって。ゲロリンはずっとひとりぼっちだったのよね。だからこそ誰かがいたらいいと思う。それがクニ姉ちゃんならすごく幸せになれると思うんだ。クニ姉ちゃんは見かけなんかで人をみないもん。」

「そうだね。僕はひとつ疑問があるんだ。ゲロリンがあちこちに引越してるのは

実は誰かを探してたんじゃ無いかってね。」

「探してた?誰を?」

「アキ、、、。お母さんだよ。」

「ゲロリンがお母さんを探してたのか?俺、びっくりしたなーもう。」

「そうだったのかな。でもさ、それはそれじゃない。例えば姉ちゃんと仲良くなってもここに住みながら探す事だってできると思うわよ。」

「そうだね。仲良くなったのはいいけど、突然にゲロリンがいなくなったらクニ姉ちゃんは傷つくから。それを心配したんだ。」オサムちゃん、先の先まで考えてる。


商店街のイッチのお店の近くで見張っていたらゲロリンがやって来た。

「うふふーん、うふふーん。ルビラブビバソーン🎵」ゲロリン鼻唄混じりにスキップしてるよ。

あ、「ベル」の前で立ち止まってる。

「今よ!偶然会った事にしてゲロリンにホットケーキ食べさせてもらうのよ!」

「アキ、ホットケーキが目的じゃないだろ?」

「オサムちゃん、細かい事はいいのよ。滅多に食べられないんだもん!さあ、行くわよ。」

るんるん気分のゲロリンに声を掛けたわ。

「あーれーー?ぐーうーぜーん。ゲロリン、何してんの?もしかして、ベルに来たの?」

「ああああがるなるのぴょん!みんな、お揃いでありんすねぇ。」

「ゲロリン、マスターのホットケーキうまいんだぞ!俺食べたいぞ!」

「えっ?ああ、そうでありんすねぇ。じゃあ、皆さんにご馳走しちゃうでありんすよ。」

「うわーい!やったー!」私はふっわふっわのホットケーキにシロップを沢山掛けて食べるのが好きなの。その時には大切な使命なんかすっかり忘れてたのよね。

仕方ないわよーーー、ミニラーー!

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