第12話 ゲロリンの過去
「さぁ、ゲロリン、君は何しに来たんだい?」オサムちゃんは問い詰める。
「あちきですかぁ。何しにって引越して来ただけでありんすよ。」
「そーいう事を聞いてるんじゃないわよ!ゲロリンは金星人なんでしょ!
その服や頭の毛、黄色じゃない!キングギドラを呼ぶつもりでしょう?
冗談じゃないわ。こっちにはね、ゴジラとモスラがいるのよ。毎回、キングギドラは負けてんじゃない。だいたい、キングギドラだってかわいそうじゃない!あんたらに操られてさ。やりたくもない戦いしてんのよ。どう思ってんのよ!」
「え?あちきは金星人でありんすか?知らなかったですなぁ。チングチンドラってなんです?」
あー、駄目だ。アキのやつ、完全にゴジラシリーズに入り込んだよ。これが始まると話は止まらないからなぁ。オサムちゃんはゲロリンに言った。
「あの、アキの事はほっておこう。ひとりで喋ってるから、いつもの事なんだ。
ゲロリンは引越してきたと言ったね?ここに来る前はどこにいたの?
どこの星から来たの?」
「あちきは、あちこちあちこち引越しして来たんでありんすよ。どこの星って
どこなんでしょうねぇ。」
「どこなんでしょうねぇってゲロリンいい加減にしろだぞ!大人なのにわかんない訳ないだろ?」
「イッチの言う通りだよ。何故、隠すんだい?やっぱり地球を侵略しに来たのかい?」
「あちきは捨て子だったんですよ。施設の前に捨てられてたそうでありんすよ。だからわかんないんでありんすね。」
「あー、この前テレビでやってたぞ!宇宙人にさらわれた女の人が赤ちゃん産んだってさ。ゲロリンもそうなんじゃないのか!」
「そうなんでありんすか?あちきは宇宙人の子供だったんでありんすか?」
「知らなかったの?ゲロリン?自分の事を何にも?」
「はい。」オサムちゃんはゲロリンの答えに悲しくなってきた。オサムちゃんちは医院をしてるんだけど、捨て子が置き去りにされてた事があったんだ。それを思い出してたんだと思う。この時、オサムちゃんはゲロリンは人間で宇宙人とは何の関係も無いんだって気がついたと思う。
「そっか、、。宇宙人の子供だから捨てられたのかい。ゲロリンは生まれた星の事はなーにんも覚えてないの?テレパシーとかさ、交信出来ないの?」イッチは聞いた。
「出来ないでありんす。あちきはギターを弾いて歌を歌うくらいしかできやせん。」
「何よー、ゲロリン、キングギドラ呼べないのーー?つまんない、全くつまんないったら。期待はずれだわよ。」私はプンプンだ。
「ばっかだなぁ。アキはキングギドラなんて来たら大変だよ。」
「イッチのバカーーっ!ゲロリンのたーけー!」
「え、あちきが悪い事したでありんすか?申し訳ありんません。」
「いや、ゲロリンは何も悪くないよ。ゲロリンはここで暮らしたいだけなの?」
「オサムちゃんでしたっけ?そうでありんす。」
「仕事は何をしてるの?」
「お酒を飲むところでバーテンをしているんでありんすよ。」
「ねぇ、あの宇宙人みたいな顔ってお化粧だったのかい?」
「あちきはロックバンドをやってるんでありんす。ギター弾くでありんすよ。」
「そっかぁー、とろこでロックバンドってなんだ?」イッチはいつもこうだ。
「知らないでありんすか?じゃあ、聴いてみますか?」ゲロリンはそう言うとステレオにレコード盤を乗せてレコード針を落とした。
「英語だぞー!なんだよ、うっさいなぁ。ギャーギャー言ってるぞ!こんなの歌なのか?」イッチの言う通りだと思った。私はレコードの入ってた表紙を見た。
ゲロリン?外人の人達がお化けみたいな宇宙人みたいな顔で舌ベロリンだ。
「ゲッゲロリン、わかったから音を止めてくれないか?頭がガンガンしてきた。」
オサムちゃんはクラッシックが好きだから体質的に合わないらしい。
ゲロリンはレコードを止めてくれた。
「ふーっ、めまいしそうだったよ。話を確認しよう。ゲロリンは捨て子だった。
施設で育ったんだよね。そして、あちこちで暮らしてたちばな町のお化け屋敷に引越してきた。つまり、そう言う事で良いかな?」オサムちゃんはまとめるのが好きだ。
「そうでありんすねぇ。」
ええ?もしかしてただの人だったの?金星人じゃ無いの、、、。イッチと私は今気がついた。
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