第11話 一時休戦

あまりの事にとりあえず、休戦になった。

ぐぅーーーっ。お腹の虫が大きな音を立ててる。

「アキの腹の虫がデカい声でないだぞぉ!!俺も腹が減っちゃった。くっくゃみー。シオシオのパー。」イッチは怪獣ブースカの真似をしてしゃがみ込んだ。

「そうだね、くっしゅん!確かにぼくもお腹空いちゃったし。ここは、ゲロリン一時休戦としないか?」オサムちゃんはゲロリンに提案したの。

「ゲホッ。いーいでありますんよぅ、、、。あちきもお腹の虫さんが泣き虫小虫でありんすから。」

私はおばあちゃんが作ってくれたおにぎりを出してゲロリンの縁側に広げた。

「なんの具は秘密だって、いろんなのあるみたいよ。」

私達は迷いながら選んだ。

「あっ私のシャケだぁー。」「俺のはたらこ!」「僕のはオカカだよ。」

なんだろ?強い視線を感じる、背中がゾクゾクーーってする。

「美味しそうでありんすねぇ。」クォーークワクワクワーってヘンテコなお腹の音が鳴り響いた。ゲロリンもお腹が空いてるみたいだった。少しかわいそうな気がしたから、

「ゲロリンも食べる?」って聞いてみたの。

「いいんでありんすかぁーーっ?」

「いいわよ。今は休戦中だもん。」

「ありがとうでありんすー。では、あちきはこれにしようっと。」

ゲロリンは大きな口でパクリ。具はなんだったろ?

「アサリの佃煮でありんすねぇ。うん、生姜も効いて美味しいでありんすよ。

これはだーれが作ったんでありますか?」

「私のおばあちゃん。美味しいでしょう?おばあちゃんの手で握ったおにぎりはあ母さんとも違うの。」

「手から魔法の味がでるんでありんすよね。おばあちゃんは魔法使いでありんすね。」そうなんだ、だから誰にも真似出来ないんだってわかった。ゲロリンって結構良いやつなんじゃ無いかって気がした。

おにぎりを食べ終わったら、ゲロリンが紅茶を入れてくれるって言うの。

私達は毒でも入れられるんじゃないかって見張ってた。

オサムちゃんでしか見た事ない、紅茶用の陶器のポットに缶から紅茶の葉っぱを入れてお湯を注ぐと、外国のかなって思うようなカップとお皿を用意してくれた。

角砂糖も用意してくれたから、皆んなであったかい紅茶を飲んだの

ふー甘くて美味しい。いい匂いだなぁ。うちで飲むのとは全然違う。

「なぁ、うんめーぞ!これ。オサムちゃんちの紅茶と同じくらいだぞ。」イッチの言う通りよ。オサムちゃんちはハイソなんだって、だから遊びに行くとおやつもおばさんの手作りクッキーとか出るんだもん、その時は必ず紅茶。その味と同じだ。

ん?もしかしてゲロリンもハイソなの?

「さぁ、ゲロリン、そろそろ本題に入ろう。君は何しにたちばな町に来たんだい?」忘れてた、ゲロリンとの対決してんだったよ。

「何しにでありんすか?引越してきたでありんすよ。この家が気にいったんでありんすな。」

「誤魔化さないで!まだ、武器はあるのよ!本当の事を言いなさいよ!」

私は手提げかばんからイクラもどきの瓶を取り出して、水戸黄門のこの印籠が目に入らぬかーって感じにゲロリンの目の前に突きつけた。

「うげうげろー、あわあわわーっ、おーえーーーっ!」ゲロリンは腰を抜かして

逃げたいのに動けないで仰向けで手足をバタバタさせてた。

「なんだよ、これ。殺虫剤シャーした時のゴキブリみたいだぞ?」イッチが言った。







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