第8話 もどきの完成で怖いもの無し
それから、イッチは聞き込みを頑張ってくれた。おかしな格好の人だもん。商店街は主婦の社交場でもある訳だから、そりぁ、噂話でもちきりだったの。
うちのお母さんだって知ってたもんね。
「アキ、おかしな人がいるみたい。商店街に買い物に来るそうよ。町の人も素性がわからないらしいの。とりあえず、気をつけてちょうだいね。学校の帰りもイッチやオサムちゃんと帰るようにしなさいね。」
うちのお母さんにまで知られたのかー!ゲロリン!
おばあちゃんんちでの対策会議の日。
「まずはイッチ隊員から報告をしてくれたまえ。」オサムちゃん、たまえって?
司令官気取りだよ。
「はい!オサム司令官。俺のメモを読むぞ。
ゲロリンは商店街に買い物に来るのは土曜日のお昼過ぎなんだってさ。
服装はあんなんだって。喋るときにさ、ありんす〜って言うらしいぞ。
うちのコロッケは絶対買うぞ。やっぱりうまいんだなぁ。父ちゃんのコロッケはさ。」
「なるほど、定期的に買い物をしているのか。それは都合がいい。土曜日の午後からなら学校は半ドンだからね。では、土曜日の学校が終わった頃にゲロリン基地へ行き、ゲロリンが出掛けところへ侵入することにしよう。
アキ隊員、武器について説明をしてくれたまえ。」オサムちゃん、絶対に変だってたまえっての、ついてけない気分だよ、全く男子ってやつにはさ。
「へーーい。とうがらし水鉄炮はお湯に溶かした方が溶けて混ざりやすいからそれで作りました。こしょう爆弾はオブラートだと破れちゃうから鼻紙で丸めてがよかったですよ。イクラなんだけど、これはさ寒天に赤色を入れるってのが難しいんだよね。それにさ、あーんな小さな粒じゃん。何度やってもイクラには見えないんだよね。」
おばあちゃんは編み物をしながら話を聞いてたみたい。いいんだ、おばあちゃんは余程の事が無い限りは誰にも喋らないもん。
「ふふふ。イクラもどきは上手くいかないみたいね。探偵団の皆さん。おばあちゃんが思うんだけどね。寒天は硬めに溶かして赤色絵の具を混ぜておく。それを絞り出しておく。小さく丸くね。それが固まったら、透明の寒天液をかけてみたらって
思うのよね?小さな粒を作るには、、、。そうねぇ、注射器みたいな物があると絞り出しやすいかもね。」おばあちゃんの意見に私とオサムちゃんは反応した。
「そうか。注射器なら古くなって処分するのがあるよ!持ってこよう。」オサムちゃんちは医院だからあるある。オサムちゃん走って家に行っちゃった。
「アキとイッチは寒天の用意をしてたら?」おばあちゃんに言われて、私達も立ち上がった。
寒天は硬めに煮詰めて、赤絵の具を混ぜたものと透明なのを作った。
そこへオサムちゃん登場。まずは赤の寒天液を注射器に入れて細い針先から慎重に
絞り出す。初めの方は潰れちゃったりしたけど、やってるうちにぷくんと丸く盛り上げられるようになった。
固まった赤い寒天に透明な寒天液を掛けていく。ウヒョヒョ、固まった赤い寒天にまとわりついたよ!
「ねぇ、これイクラだよね!」私は嬉しくてみんなを見た。
「うん、俺ヨダレが出てきたぞ!」
「食いしん坊のイッチが言うんなら間違いないね。イクラもどきは完成だね。」オサムちゃんも満足してる。
そこからは分担しながら丼いっぱいのイクラもどきを作った。
見てなさいよ!ゲロリン!これで怖くなんか無いんだからね!
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