第7話 カレーはオリエンタルなの

ゲロリン星人はひとしきり叫ぶと交信が終わったらしく家に入って行った。

私達はおばあちゃんが持たせてくれたひねりあられを食べながら

「ねぇ、ゲロリンって地球征服するんじゃない?絶対そうよ。金星人はね

金星に住めなくなったから新しい住処を探してたんだもん。」

「アキ、それゴジラの映画の話だぞ。だいたい、ゲロリン星人はゲロリン星から来たんだぞ。」イッチ、いつのまにゲロリン星なんて出来たのよ?

「オサムちゃん、どう思う?」私はオサムちゃんの意見が聞きたかった。

「僕は、もう少し情報が欲しいと思ってる。あの家は基地なのかも知れない。

なら、基地の中に入ってみたいね。」

「えーー!それは危ないぞ!俺たち、頭にチップ入れられておかしくなっちゃうんだろ。宇宙人に捕まった人が話してたぞ。」イッチは最近テレビでやってた宇宙人に捕まった人の話を必死にしてる。

「やろうよ。こんなドキドキすることってさ、これから無いかもしんないじゃん。

イッチはすーぐに怖がるんだから。弱虫、毛虫、鼻くそ丸めてポイだよ。」

「俺、弱虫じゃないもん、、、。」しゅんとしたイッチをロクがぺろぺろと舐める。ロクって優しいね、私はねじりあられをロクの口に入れてやった。

「もう、夕方だから今日は帰ろう。これからは、アキのおばあちゃんんちで作戦会議をしよう。」オサムちゃんに言われて薄暗くなっているのに気がついた。

晩御飯なんだろ?なーんて思ってたら、ゲロリン星人の基地からカレーの匂いがしてきた。

「ねぇ、カレーの匂いがしない?」

「俺もそう思ったぞ。ゲロリンがカレー作ってるんだな。俺んちの肉で。」

「このカレーの匂いはオリエンタルカレーだね。」オサムちゃんは匂いでわかるらしい。って言うかここらあたりはオリエンタルカレーに決まってるもんね。

おばあちゃんちでランドセルを背負ってバイバイした。

家に帰ったら、うちもオリエンタルカレーだった。んまいーーっと思いながら

今頃、ゲロリンもこれを食べてるのかな?と考えるとヘンテコで笑えてきた。

「アキ?カレーの味がおかしい?」ってお母さんが聞いてきた。

「ううん、いつもの美味しいカレーだよ。美味しすぎて笑えただけだよ。」

私は嘘をついた。まさか、ゲロリン星人の話なんかできないもん。


それからは学校帰りにおばあちゃんちを探偵団の事務所って事にしてイッチとオサムちゃん、ロクと集まったの。

オサムちゃんは「ゲロリン星人対決作戦」と表に書いたノートを広げて話を始めた。

「僕は考えてみたんだ。まず、ゲロリンの生活を知る必要があると思うんだ。

それで、出掛ける日にちや時間を知るんだ。それがわかったら基地に忍び込む。

まずは商店街に買い物に来る事はわかったよね。ここからはイッチ隊員の使命だ。イッチ隊員はゲロリンが必ず買い物にくる日があるのか?それを調べるんだ。

ゲロリンはおかしな格好をしてるから商店街でも噂になるに違いないからね。

それとなく、あちこちのお店のおじさんやおばさんに聞き込みをしてメモするんだ。できるかい?」

「できるぞ!任せとけって。商店街の人はみーんな噂話ばっかしてるからな。

うちの母ちゃんなんかおしゃべり九官鳥って呼ばれてるぞ!」イッチは威張って言ってるけど、それっておばさんの悪口じゃないの?

「で、私は何をすればいいの?オサムちゃん。」

「アキと僕は、もしもゲロリンに襲われたら闘わないといけない。その為に武器を作るんだ。」

「武器ー!!包丁とかそんなの使うの?」

「違うよ、僕が考えたのはね。とんがらしの粉を水に溶いて水鉄炮に入れるんだ。

それをゲロリンの顔に噴射する。ゲロリンの目にとんがらし水が入るんだ、

痛くて目なんか開けてられないだろ?」

「うわー、さすがオサムちゃんね。それならいい。包丁とかでブスっとか血がドバーなんて怖いもの。」

「他にもあるんだ、パチンコを使うんだ。胡椒の粉をオブラートで包むんだ。それをゲロリンに向けてぶつける。くしゃみが止まらない筈だ。」

「あはは。くしゃみしてるゲロリンって、、、。」

「いいかい?相手は宇宙人だからね、そんな物が効果あるかはわからないんだ。

だから、とっておきの武器が必要なんだ。」

「なんだよ、とっておきの武器ってよーー。オサムちゃん。」

「イッチ、それはね。イクラだよ。」確かにゲロリンはイクラが苦手だった。

だけど、イクラは高いから私達で買えっこないんだよね。

「アキ、高いイクラを買える訳ないっておもったんだろ?その通りだよ。

だからさ、イクラもどきを作るんだよ。」

「イクラもどき?そんな物作れるの?」

「うん、寒天を溶かして小さな丸の型に流し込むんだ。ある程度固まってきたらそこへ絵の具の赤を入れてやる。そしたらイクラみたいになると思うんだ。

これは、やってみないとわからない。実験が必要だよね。」

「わかった!やるわ。イクラもどきを作ろうよ、オサムちゃん。」

オサムちゃんは凄いって思った。私とイッチだけなら、ゲロリンとの闘いは負けが決まってたわ。

ふふふ、ゲロリン見てなさいよ、たちばな少年探偵団をなめんじゃないわよ。









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