第15話 目覚め

優子は不意に意識が戻ったとき、まず目に入ったのは白い天井だった。そこは病院のベッドの上、彼女がいる場所だとすぐに理解した。


「ん……」

優子は小さく呻き、体を動かそうとしたが、全身が鉛のように重く、思うように動かせなかった。視界はぼやけ、頭痛が襲ってくる。


「よかった、目を覚ましたか。」

優子の隣で声がした。驚いて顔を向けると、そこには見慣れた顔――管理人の佐藤さんがいた。


「佐藤さん……?」

優子の声はかすれていたが、どうにか口を開くことができた。


「よかったよ、本当に。」

佐藤さんは少し安堵したように微笑んだが、その笑顔の後ろに不安が見え隠れしているのがわかった。


「ど、どこ……ここ?」

優子は辺りを見回しながら、しばらく自分がどこにいるのかわからなかった。


「病院だよ。倒れて、そのまま動けなくなってたんだ。」

佐藤さんは優子の手を取って、そっと握る。


「原因は……栄養失調だってさ。」

優子は言葉に詰まり、しばらく何も言えなかった。

「食事……?」


「そう。最近全然食べてなかったからね。どうやら、自分が食べることすら忘れてたみたいだ。」

佐藤さんは目を伏せ、ため息をついた。


「でも、よく戻ってきてくれたよ。もう少しで危なかったんだから。」

佐藤さんは優子の手を握り直し、励ますようにそう言った。


「ん。まてよ、なんで?」

突然、優子はその言葉に違和感を覚えた。

「よく戻ってきたって、まるで……監視されてるみたいじゃない?」


佐藤さんの笑顔が一瞬曇るが、すぐに取り繕うように表情を変える。


「そんなことないよ、優子さん。ただ心配してただけだから。」


優子は黙って頷き、視線を外す。

「……そう。」

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