第4話体育祭
「体育祭の出場者を決めます。自分の出たい競技名と自分の名前を書いて提出して下さい。希望者が多い場合はじゃんけんで決めます。」
正木さんの司会で、体育祭の競技を決めていた。
ー私、小柄だから走るの遅いんだよね。障害物競走にでようかな?。どの競技がコスパが良いかな?。ー
結局、切開は山城と二人三脚となって、女子の嫉妬を浴びた。
なんといってもこのクラスでは山城、斉藤、萩原、石井がモテ男なのだ。
斉藤と萩原はリレーに出場し、石井は借り物競走に参加する事になった。
「石井くんに借りてもらえるように、私、体育祭の日に、いろんな物を持ってくるわ。」
そう言っていた赤井さんは体育祭当日スーツケース一杯のの荷物を持ってきたが、石井の借り物は校長先生で、赤井さんの苦労は報われなかった。
「いいな。切開さん山城くんと二人三脚なんて。」
「えー。男子と二人三脚なんて恥ずかしいよ。」
ー自分で二人三脚を選んだんだけどね。ー
「それより、リレー楽しみだね。応援しないとね。」
「そうね。みんなで応援しよう。」
ー可愛く萩原くんの応援をして、ポイントを上げるんだ。ー
「今日の体育の授業は体育祭の練習です。」
「よろしく。切開さん。」
「転んだらごめんなさい。」
「僕がささえるから大丈夫だよ。切開さんって、シャンプーのいい香りがするね。」
ー良かった。こっそりシャンプーの香り風のデオドラントつけてきたの。ー
「結んだ脚がこすれて痛くならないように、これ使いなよ。」
「ありがとう。 山城くん。よく気がつくのね。」
ー彼氏の第一候補は萩原くんで第2候補は山城くんかな?。山城くん、優しくて気がきくし、ハンサムで高身長。成績だけがイマイチかな?。ー
そして、体育祭当日。
学校中が派手に飾り付けられ、音楽が鳴り響く。
生徒達もソワソワして、なんだか告白とかありな気配。
公認済のカップルたちは、あちらこちらでいちゃつきはじめた。
体育祭と文化祭はカップル達の一大イベントなのだ。
「切開さんと二人三脚できて俺、ラッキー。」
「脚を引っ張らないように頑張るね。」
「山城くん、切開さん頑張れ。」
みんなの応援もあって、なんとか2位を確保。
「やったね。山城くん。」
切開と山城はハイタッチで喜んだ。
次はクラス対抗リレー。
「斉藤くんがんばれ。」
「萩原くん頑張って。」
女生徒の黄色い歓声がひときわ高くなった。
第2走者が3位で斉藤にバトンを渡し、斉藤が一人を抜き、2位で萩原にバトンが渡った。
「萩原頑張れ。」
「萩原くんファイト。」
ゴール間際で萩原が追い越しに成功し、1位でゴール。
クラスのみんなは大喜び。
最後はフォークダンス。
切開はまず斉藤と踊る。
斉藤は切開ににっこり微笑む。
次は山城の番。
山城は切開にウインクしてアピール。
最後にやっと萩原の順番がやってきた。
萩原の顔が少し赤いのはキャンプファイアーのせい?。
「リレー、かっこよかったよ。」
切開が萩原の耳に囁やくと、萩原はもっと顔を赤くした。
ーこれって脈あり?。ー
無事に体育祭は終了し、下校しようとすると、靴箱に封筒が。
「明日の昼休みに、体育館の南側外でまっています。」
と、書いてあった。
ー誰だろう?。萩原くんか山城くんだと、いいのにな。ー
次の日の昼休み、約束の場所に行くと、待っていたのは隣のクラスの男子だった。
「あの、僕、2年3組の本田って言います。切開さんに一目ぼれで。よかったら僕と、付き合ってください。」
ー本田君。ちょっと背は高いけど、あとは普通って感じかな?。ー
「ごめんなさい。私、家が厳しくて、男女交際ってダメなんです。でも、私の事を好きって言ってくれてありがとう。」
ー好きって言われるのはうれしいけど、ここは自分の気持ち正直に。ー
体育祭の二週間後には期末テストが待っている。
萩原、正木、切開は今回も図書館で勉強会をすることにした。
ーテスト勉強の後は萩原くんと一緒に帰れるなんて、本当にラッキー。勉強の疲れが恋愛パワーで溶けていくみたい。ー
期末テストの結果が張り出された。
正木 学年3位
萩原 学年4位
切開 学年6位
となった。
「私学年3位ってはじめてだわ。二人のお陰よ。」
「私こそ、二人のお陰で6位になれたの。」
「これからも、一緒に勉強しような。」
3人とも、今回の期末テストの結果に大満足だった。
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