結婚したら、離婚しました。

トシキ障害者文人

第1話 土壌の結婚生活から新芽よ。出よ!

令和の現代、混在化社会、少子高齢化の進む中で、非婚化も進む。自分の事しか考えないおじさんを、若い世代は、「老害」と言う。おじさんは、マイペースであり、勝手気ままに動き回る。若い世代は、はらわたが煮えくり返るのを我慢して、おじさんを見つめる。おじさんは、口を開くと、自分の言いたいことしか言わない。何につけても、自分である。アメリカ合衆国は、自分の国しか考えず、ロシアも、自国の正当化ゆえに、ウクライナを攻撃する。日本も、自己肯定化で、自分を大切にすることが、風潮である。世界的に、「自分」もしくは「自分たちの」である。

この手記は、おじさんである作者の将に「自分の事」である。敢えて独り言のように書いた「自分の過去の話」である。だから、若い世代には、ストライクの「老害」である。余計な話である。しかし、なぜ、作者は、敢えて害になる話を書くのか?まして、恥ずかしい過去の離婚生活を書くのか?

ここに、本当の意味での「混在化社会」はないだろうか。作者は、若い世代の重い肩の荷物を降ろしてやりたい。おじさん作者が書いた作品と言う土壌に、どうか、あなたの心の重い荷物を降ろしてくださいませ。


俺は、精神障碍者である。それでも、一度、結婚したことがある。御相手は、同じ会社で、働いていた、健康で、すらりとしたスタイルの事務員さんだった。オフィスラブで、結婚した。

しかし、結婚生活は最低だった。まず、元妻は全く仕事をせず、全く家事もしないで、俺が、一生懸命働いて稼いだ金で、服も買わず、おシャレもせず、家の飾りもせず、ただ、俺と一緒に遊びたがった。俺が、会社から帰ると、決まってこう言う。

「レストランに食事に行きましょう。」

「俺の食事を作っておくれよ。」

「いやよ。美味しい料理を食べましょう、一緒に。」

俺は、呆れて、仕事で疲れているので、反論もせずに、元妻と外食した。これがほとんど毎晩続いた。朝食は、戸棚から引っ張り出した、ロールパンのみだった。昼食は、俺は、会社で弁当を取るか、仲間と外食した。

夫婦喧嘩になると、元妻の言葉の暴力は最強だった。切り返しがうまくて、攻撃力も凄まじい。とても勝てない。俺は、苦しくて、へとへとに疲れて、従うしかなかった。

掃除、洗濯、風呂焚き、洗車、庭の手入れも、全部俺がやった。俺は、何度も何度も、自分に言い聞かせた。

「いつかよくなる。」

元妻は、驚くほど、何にもしなかった。ある時、俺が、子供を作ろうと言ったら、

「精神障碍者のあなたの子供は作りません。」

はっきりと言う。しかし、なぜか、夜は、獣のように、燃える。これでは、俺は、売春婦を抱いているようだった。

2年経ったら、元妻は、携帯電話を使って、県内のあちこちの男性とアポイントを取り、遊び歩くようになった。男とデートをしたり、食事はおろか、ディズニーランドに行ったり、東京観光に行ったり、挙句の果ては、一夜を共にしたりした。それを悪びれもなく、俺に報告する。俺が、いくら怒っても、効果なし。

3年経って、俺は、離婚届を元妻に突き出した。元妻は、驚いて、泣いて、泣いて、俺に、懇願した。

「どうか、あなたと別れたくない。どうかやり直してほしい。」

「俺は、あんたの奴隷ではない。もう無理だ。別れよう。」

俺は、今までの経緯を冷静に説明した。どう考えたっておかしいということを。

そして、俺は、元妻を幸せにできなかったことを、深くわびた。

3年目の結婚記念日に役所に離婚届を、二人で提出した。俺は、慰謝料を払うことになった。俺は、懸命に働いた…。3年かけて完済した。


離婚して、5年後、俺は、あるラーメン屋で、元妻とバッタリ出会った。元妻は新しい男性と一緒だった。彼は、外国人男性だった。彼女は、言った。

「あたしは、あれから、英語を勉強して、英語ペラペラになって、アメリカ合衆国に、ホームステイに行っていたのよ。」

「そてはすごいなぁ。俺は、あれから、自動車事故を起こして、いままでの会社を退職して、母親が亡くなり、今は、違う小さな会社に勤めている。俺は全くツキがない。今はあんたは幸せかい?」

「ええ、とても。」

彼女は、再婚したという。アメリカ人の旦那はハンサムで、にこにこした笑顔で、俺に挨拶をした。彼女は、妊娠中だった。俺は、直ぐに、店を出た。俺は、嬉しくも、己が、さみしかった。


いつか、畑を耕すおばあさんに、俺が、つい、離婚したことを喋ったら、

「そういう悪い女を選んだ、あんたが悪い。」

と一喝された。やはり、俺が悪かった。俺が、彼女をリードすればよかったのだ。

俺の転落ぶりはめざましく、あちこちの会社を渡り歩き、給料もどんどん下がり、条件もどんどん悪くなり、娑婆に疲れ果て、ついに力尽きて、障碍者施設に入り込んだ。

精神障碍者の俺は、現在、障碍者施設のグループホームに住んでいる。


この世には、自分以外の人がいます。他者です。また、男性と女性、そして、中性(こう表現しておきます。)がいます。恋愛は様々な形がありますが、まずは、自分以外の人を愛することを覚えてください。これ以上はここでは言いません。では。




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