第33話 ジェニーの大冒険⑥
「あっ!鳥さんっ!!」
以前お父さんが鳴らない筒で呼んだ、ふくふくした白い鳥さんが馬車を先導する様に飛んで行く。
「鳥さん、何処に行くの?」
「一旦馬車は何処かに置かなきゃだろう?幸い1兄の経営しているお店の中に宿もあるらしいから、そこで宿を取らせて貰えるようにお願いしてあるぞ」
「宿!」
うちの村には宿って無いのよ。
誰も外の人来ないから、商売にならないし。
「楽しみねぇ〜〜」
家じゃない所で泊まるの初めて!(馬車は移動手段だから除く!)
「折角だし、ご飯はその辺の屋台とかでとろうか?」
「うんっ!!」
ピチチッ、と歌うように時たま鳴くおチビ鳥の後ろ姿を追う私は、異様に人がいない通りを不思議に思う事なく街に着いて浮かれていたのでした〜〜。
「うんちが無い?」
「いや、あるにはあるけど量が少ないな」
グレ兄とレオ兄が首を傾げている横で、私はと言うと…。
「くちゃいっ!!」
顔をクチャッと歪めて鼻を抑えていますっ。
道端に、うんちが落ちてるのよ。
結構、至る所に。
これで少ないとか言ってるけど、多いと思うのは私だけなのかな…。
道ゆく人は、誰も気にした様子がないのが怖いよ。
「宿の人情報だと、昨日清掃が行われている」
「昨日?」
アレンお父さん曰く、定期的に道にある馬の糞を清掃する日が設けられているらしいんだけど
「毎日やって欲しいぃ〜〜」
お兄ちゃんズが来た時は、もっと凄い量が落ちてたから今は未だマシだって言うんだけど!
全然マシじゃ無いよ!汚いよっ!!
私とお母さんとお爺ちゃんとお婆ちゃんは、眉間に皺を寄せちゃうよ!
超不服だよ!!
「この街は、5日に一度定期清掃をやるらしい」
お父さんも街は初めてだと思うんだけど、何か凄いこれが当たり前感があるのは何でなんだろう?
「1日でこの量だったら、そりゃあ俺らが来た時はああなってるわな」
「あの時は、4日か5日目とかだったのかなぁ?」
そうだよ!これが未だ綺麗な方だって言う会話がもう、信じられないよ!?
「これじゃあ、旅が台無しになっちゃうよ…」
だってこんな臭い中物を食べても、全然美味しく無いからね。
「まあ、臭いは慣れるから」
…慣れたくない。
街へのちょっとした憧れが、馬のうんちだけで壊れていくのが哀しい…泣き。
それでもお父さんの言う通り、臭いは一時したら気にならなくなっちゃったから、皆で屋台でワイワイ買い食いして、街を練り歩いた。
私は人通りが多いのと、落ちてる糞を踏むといけないからって、お父さんに肩車して貰ってるのよ。ふふんっ。
お母さんは、お父さんのエスコートで苦なく歩いてるけど、お爺ちゃんとお婆ちゃんが大変そうよね。
お兄ちゃん達は気をつければ何とかって感じ。
一通り屋台街を歩き終わったら、宿に戻った。
…お爺ちゃん達が限界そうだったから。
「俺らが来た時はもっと凄かったぞ」
「足の踏み場もなくて、敢えて踏んで行く人ばっかりだった」
って言うお兄ちゃん達の情報に。
…私は、馬車以外はずっとお父さんの肩車だなって思いました。真顔。
「味、薄いねぇ〜〜」
色々なものを屋台でも食べてみたけど、全体的に味が薄くて似たり寄ったりな味付けだった。
因みに今は、宿のご飯をお部屋に運んで貰って食べてるよ。
もう皆、街を歩き回る気力が無くって。
…街ってもっと、何かが凄いんだって思ってたんだけど。
そんな事全然無かったな。
「お家のご飯の方が、おいしーね」
形や種類は色々あるけれど、味は全部薄い塩味って感じ。
「ふふ、ありがとう」
って毎日美味しいご飯を作ってくれてるお母さんが嬉しそうに笑うんだけど、本当に本気な感想だよ。忖度無しで。
…後ねぇ〜、お風呂が無いのもショックだったよ。
しかも、その代わり?が衝撃だった!
タオルで身体を拭くだけって何!?って。
お父さんは
「これはこれで良いかも…」
って呟きながら、恥ずかしがるお母さんを拭いてたけど…全然良く無いよっ!
でもこれが、この街の普通なんだって!
…私には、街は無理だなって思ったよ。心底。
無理って言うか、嫌位まである。
何で皆があんなに街に憧れるのかがますます謎になってしまった。
私にはわかんなかったけど、皆はこれが良いのかなぁ?謎いな。
一応、お土産買って来るねって約束した子達には何かしら買って帰る予定だけど…私もう、街の中を歩くのも嫌だから、お父さんに任せちゃ駄目かなぁー…しょんぼり。
※ ※ ※
アレンは意気消沈してしまった娘を見て、内心“狙い通りだな”とほくそ笑んでいたりする。
後、心折れてるのはジェニーだけでは無く、皆。
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