第40話 集結
宿はシャミ―ニア、バン、サミエラの3人とジョセーヌ、ラン、シズクの3人そしてロルグの一人で部屋を分けた。
「またたいそうな準備をしているみたいだね」
「サミエラさん、今回は魔族もかなりの危機だと思いますが」
「そうだね、でもまだ時間的猶予がある」
前回の太古の巣窟で起こった出来事を思い出した。
「前回のグール病でも引き起こして、魔族軍と挟み撃ちして帝国軍を滅ぼすとか」
「多分それをしても、前線の優秀な人たちを引き抜き容易に対処される。
ちょっとした足止めにしかならないよ。まーゆっくり考えていこう」
だいぶのんきに考えているなと思った。
起床して、私たち3人は朝食をとっていた。
ここは宿の中に食堂があり、料金も宿代に含まれている。
私たちが来る頃にはすでにジョセーヌが居た。
それも男の人と一緒に食事をしていた。
あの顔は…
「君たち3人にも紹介するよ。
こちらにいる方は勇者アレンだ」
「勇者アレンです。よろしく」
なぜこの人もいるんだ。
「へえー、それはすごいですね。勇者の称号なんてなかなか手に入れられるものじゃないよ。確か世界の各国が共同で作り上げた総合魔法学校でたぐいまれなる成績を収めた者のみがなれるんでしたっけ」
「そうだよ。よく知っているね。と言っても全ても項目で中途半端にいい成績を収めただけだよ。他の人のようなこれがだれにも負けない分野だって思うようなことないしね。
ただの器用貧乏だよ」
「すべてをバランスよく鍛錬できているのがもうすごいですよ。さすが勇者だ。
もしかして今回のジョセーヌの作戦に参加するのですか」
「はい。そのために私が呼びました。それに他の人たちも読んでいますよ。
他の人たちは今日の駐屯地で集合することになっていますが、よかったら一緒に来ますか」
流れのまま私たちは駐屯地に来ていた。
着いてから驚いた。昨日見た帝国兵とは別の人たちがたくさんいたからだ。
「久しぶりだな。ジョセーヌ、アレン、後そこのお嬢さんも」
そこにいたのは剣士ランドール。
彼の後ろには彼が率いるランドール傭兵団もいた。
太古の巣窟ぶりか。
「久しいのう。ジョセーヌ」
「師匠、御無沙汰しています」
そこにいたのは大賢者ロンメル。
彼が引き連れてきたのか昨日見た時より、帝国兵の中の魔導士が多くなっている気がする。
「帝国の首都付近から魔導士を連れてきた。今回は魔導士が肝心と聞いているからのう」
「助かります。ありがとうございます」
「勇者様、お久しぶりです」
そこにいたのは聖女マリ。後ろには教会所属の聖魔導士たちがいた。
「微力ながら、この者たちで傷を癒し回復に万全を尽くします」
「ああ、すごく助かる」
こんなにもかつての勇者パーティが揃うのか。
「そういや、リエルは来てないね」
「彼女は今、中央の狭間の峡谷の戦線を管理している。残念ながら今回は会えないよ」
どうやら本当にこのためだけに一気に戦力を集中しているようだ。
ここでラルゲン侯爵が集合をかけた。
「集合!今から詳細な作戦について説明する。
先日話した通り、第一段階は3人の混合魔法によるキャノンによる超遠距離攻撃を利用したアウトレンジ戦法を用いて対岸の敵を半壊状態にする。敵が対岸を守れなくなれば、第二段階では土魔法を使えるものが向こう岸までブリッジを作り上げる。ここではなるべくスムーズに多くの大軍や戦いが始まった後の補給を行うための荷馬車が通れるように大きなものを作り上げたい。複数人が協力して行うことになると思う。川を無事にわたることができれば、第三段階でこの戦域の敵魔族大将スカルを倒せば成功したと考えていいだろう。もうじき始まるこの戦いのために皆訓練を惜しまないように」
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