第39話 武器屋

 ずっと行き来していて疲れた。

それから、大人のジョセーヌにバンとサミエラが宿を探すことになり、私たちシャミ―ニア、ラン、シズク、ロルグの4人は武器屋に行くことになった。


「おおー、すげー結構珍しいのが揃っているじゃん。さすが戦線の近くの都市なだけあるな」

ロルグがここまで嬉しそうにいるのも珍しい。

この中では年を一番とっているから物静かに考えて大人っぽい印象がある方だったが。

武器を前にしてはこんな感じに笑顔になるのか。


「魔力を伝達しやすいミスリルの剣とか杖もあるぞ。

これを使えば狙った形や方向に魔法を放ちやすくなるぞ」


「へえ、それはすごい。でも魔法が全然使えないあんたじゃダメじゃん」

「それはそうだが…水を差すようなことを言うなよ」


「ごめんね。まあ私とかソラにはあった方がいいんじゃない」

「じゃあ試しに使ってみないかい?

武器屋の人に聞いてみるよ」


「いらっしゃい。試しに使うのはそこの二人のお嬢さんでいいか」


外に出た。丸太でできた的がそこにあった。

私たちはそれぞれミスリルの杖を用いストーンボールを放ってみる。


 ランは少し的の中心からは外れたが的には当たりはした。

「やったわ。いつもより狙いが正確になっている気がする」

「そのいつもがひどすぎるからだろ。中心には当たってないじゃないか」

「魔法を使えないのに口を出さないでよ」


「あら、また喧嘩を始めちゃった。お二人さん本当は仲がいいんじゃない?」

「茶化さないでよ、シズク」


 一方の私は外した。

というか、飛んでる途中にストーンボールが崩れて爆散した感じだ。

「なんか、いつもより使いにくくなってる。勝手に調整されて自動で撃ってる感じというか」

「お客さんによってはそう感じる人も多いと聞きます。

普段杖なしで自分だけの想像力で魔法を使えていて、既に指向性が身についている方は普段の指向性に杖の指向性が掛け合わさり複雑な指向性を持ってしまっているようなものです。そちらの方にはあまり向いていないかもしれません」



 それから、ロルグはダマスカス鋼の大剣を買った。

「そんな高いもの買って大丈夫?」

「おまえだって、あの高いミスリルの杖買っただろう」

「こっちは大丈夫、お姉ちゃんからたっぷり資金貰ってるから」

「…こっちもまあ一応鍛冶屋してた時に稼いだ金があるから今のところ大丈夫。

戦争が始まるんだ。金を出し惜しみしていたら命を守れねえよ」


「そう。私はお姉さんに付いていくと決めたから、この戦いにも少なからず参加しようと思っている。でもあんたたち3人はそこまでする義理はないでしょ」


 私はとりあえず答えてみた。

「この状態を放置していたらいずれ、奥まで魔族に侵略されてしまう。

遅かれ早かれ私たちも被害を被ることになる」


「…俺は二人ほどしっかり考えてねえよ。でもななんだかんだ今まで一緒に旅をしていた仲間にはちょっと愛着がわいているんだよ。近くの共に戦っている戦友がいること自体が戦う理由になっている感じかな」


「ずいぶんかっこいいこと言うじゃない。私はここまで来たならもう成り行きでって感じ。大丈夫、万全の態勢で挑んでいるんだ。いい結果になるよ」

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