第12話 白井一馬の秘密。
駅近のファミレスでお茶。
まだ早い時間なので、お客さんもそんなにいない。
五代が「ここ、前に二葉が店員と揉めたから、そのせいでアカネも使わないから平気だよ」と私に教えてくれる。
気遣いがすげーぜ。
着席してドリンクバイキングを頼み、それぞれがお茶を取ってくるなり、青山四葉は「一馬に関わらないで」と言い出した。
「一馬?」
何も知らない五代には「一年生の子、前に気持ち悪くて吐いていた時にお水をくれて、居残り部屋で会うようになってた子。コンペに出したいって言って、一年生なのにポスター制作に力を入れてる子なんだよ」と簡単に説明をする。
「六木さん、その一馬くんと付き合ってるの?」
冗談でもやめろ五代。
その質問は私の命に直結する。
「付き合ってないよ。放課後、PCルームで会うだけ。お互い常連で顔見知りだから挨拶して、作品を見せ合うくらい。一度、スランプで悩んでたから、知り合いにデザインを見てもらった以外は何もないよ」
五代は説明に納得すると、「で?青山さんは誤解されてるのかな?」と聞く。
「私も、一馬と六木さんが付き合ってるなんて思ってないです」
「ならなんで?」
私の言葉を代弁するように話を回す五代。
「一馬は誰とも付き合わないから。だから付き合うなんてないと思ってるし、付き合ってないのも知ってます」
本当に、なら何故ここにいる?
なら何故直前に白井一馬は私に電話をした?
「一馬には時間が残されてないから、一馬には長生きして欲しいんです」
は?
何を言った?
言葉と言葉の意味がよくわからなかった。
日本語なのはわかった。
それなのに意味がわからなかった。
青山四葉の説明通りなら、子供の頃に病気になった白井一馬は、医者から二十歳までは生きられないかも知れないと言われる。
そして二十歳が近付いてきて、医者は、1日でも長く生きて、三十歳を目指しましょうと言い出した。
「その為にも、過酷な仕事はしてほしくない。9時始まりの17時終わり、残業もなく規則正しい生活。今だって、学校が普通に終わって帰宅したら、遅くても18時には家に着くのに、ずっと帰りが遅い。なんでか聞いたら居残りをしていた。だからこの前も学校まで来たら、貴方といたから、一馬は何もないと言っていたけど、貴方からも居残りをしないように言ってもらう為に来ました!」
はあ。
まあ。
さいですか。
そんなコメントしか出てこない。
「ごめんね。話はわかったんだけど、青山さんは何者なのかな?白井くんの行動を決定していい人とか、ご家族とかなら言ってあげたいんだけど、お友達とかだと…」
「一馬を殺す気ですか!?」
おぅ。
ダメだこの子。
それは白井一馬から電話が来るほどだ。
五代が「落ち着いて」と言って止めると、「まずは関係だよ。それを聞かないと、白井くんを止めた六木さんが、悪く言われて嫌な思いをしちゃうよ?」と説明をする。
横に座る五代を見る攻撃的な目。
なんでわかってくれないんだと書いてある目。
「それくらい?とか言う?君の物差しならそれでも、僕たちからしたら、君のお願いくらいなんだよ?」
五代が鋭い目で言うと、「いとこ」とバツが悪そうに言い、「同い年のいとこ」ともう一度言った。
母が姉妹同士で、きょうだい同然に育ったから、誰よりも心配していて、長生きしてほしい。
それは理解した。
「見かけたら、青山さんの名前を出して帰るようには言うよ」
不満なんだろう。
それでは白井一馬は帰らない事はわかっている。
だが私達には強制力はない。
「やれてもそこまでだよ。『ご家族が心配してるなら帰りなさい』って言うよ」
「まあ、それだけだよね」
五代が賛同してくれて2対1、なんとか納得してくれ。
私の想いを汲んだのか、五代が「ひとついい?」と言い、「青山さんの行動って、その白井くんを怒らせたりしない?平気?隠してって言っても、突然六木さんがそんな事を言い出したら、青山さんが余計な事をしたってバレるよ?」と質問をしてくれた。
五代の質問で諦めた青山四葉は「お時間もらってありがとうございます」と言って帰ろうとしたので、「割り勘だよ」と呼び止めて金を支払わせた。
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わたしが見つけた恋と愛の色。 さんまぐ @sanma_to_magro
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