第11話 束縛系彼女の襲撃。
時期的には仕方ない。
だがまあ居心地は悪い。
居残りをすると、五代が来るようになった。
「久しぶり。聞いた?」
「久しぶり。二葉の事?聞いたよ」
多分、五代サイドの話と二葉サイドの話では内容が全く違う。
勇者の物語だと思って見ていた話が、実は魔王の物語だったくらいあるだろう。
だが興味はないので深く聞かないで作業を始める。
五代はポストカードをメインにするつもりで試行錯誤している。
頼むから近所に座らないでくれ。
「もう、二葉にメッセージを見られることもないから、出来上がったデザイン案とか送るから評価してくれないかな?六木さんの作品はとても綺麗だから、六木さん目線で意見が欲しいんだ」
そう言われると断るのも変な話になる。
「デート行こうとかは断るからね」
「あはは、撮影なら付き合うよ」
変な余裕の五代。
よくわからない。
「居心地悪いの?」
「まあね。アカネはこの気持ちの中で、俺と二葉の所にいたとか、信じられないや」
私は今まさに居心地と座りが悪く、「まあ素人意見で良ければね」と言って話を終えた。
・・・
2日後には帰りたくなった。
二葉と三橋も放課後の居残りにやってくる。
運良く、私の定位置は空席、二葉の定位置は埋まっていた。
横に座られる事なく作業をしていると、二葉と三橋はイチャイチャしに来たようにしか見えない。
隣り合わせで座ると、私や五代、周りに見せるようにベタベタとし始めた。
それはあの高寺武史の家で起きた気持ち悪さを想起させてしまい、また吐きそうになった。
だが、近くでない事、本番が始まらない事で何とか頑張れたし、アイツらは気分が高まったのか、早々に帰っていってくれた。
それなのに、翌日も来た。
学校からしたら金が入るのだからありがたいだろう。
だが、やる気のない生徒は断ってほしい。
それに今日は五代がいない。なんとなくだが防波堤がひとつ足りない心細さがある。
そんな思いは虚しく、今日も奴らはベタベタしている。
そんな中、突然の着信。
相手は白井一馬だった。
私は離席してPCルームの外に出て電話を取ると、「お疲れ様です。六木先輩。今は居残り中ですか?」と言われた。
「うん。そうだけど、白井くんは?」
「僕は今週は休んでまして、僕の方は問題ないのですが、四葉がもしかすると六木先輩の元に押しかけるかもしれなくて、慌てて電話をしました」
え?
なんで?
誤解だって言えば信じてくれるかな?
「え?彼女さん…何か誤解してる?」
「いえ、僕と四葉はそんな仲ではないですよ。誤解ではないんです。とりあえず僕のお願いは四葉の言葉は信じなんでください」
私が聞き返す間も無く、白井一馬は「すみません。よろしくお願いします」と言って電話を切った。
何事だ?
まあ早く帰ろう。
私は席に戻ってマシンを止めてログアウトすると、周りが変な顔で不思議そうに見てきたが意味はわからない。
長居して二葉に捕まるのも真平ごめんなので外に出ると、白井一馬の彼女?青山四葉が居た。
今日もメッチャ睨んでらっしゃる。
誤解です。
白井一馬とは何にもありません。
急に包丁でも出てきて刺されたらどうしよう。
そう思っていると、そこに五代も現れる。
「あれ?六木さん、今日はもう帰るの?」
話しかけられて、返事をすべきか、目の前の青山四葉をどうするべきか、悩んだ結果、警戒は解かずに「またイチャイチャされて集中できなかったんだよね。だから帰るところ」と返す。
「成程、居心地悪いよね。お向かいの子は?知り合い?」
また余計な質問をしてきたが、細マッチョ五代なら最悪身を守ってくれるかも知れない。
私は「うん。話したことはないけど、名前は知ってるの。青山四葉さん」と紹介?すると、細マッチョ五代は社交性を前に出してくれる。
「何か用事かな?とりあえずここはひと目があるから、お茶をしながら話そうよ。夏だから暑いしね」
頷く青山四葉に、五代は「俺は五代、数字の五に代表の代で五代、黄平、黄色に平で黄平ね」と自己紹介をして、初めて私は五代のフルネームを知った。
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