夢から覚めて その2
切符を拝見させていただきます。」
客室乗務員のマイコが切符を拝見しにきた。
ユメは切符をポケットからだしマイコン見せる。
「スターシップは現在大気圏を突入しています。どうぞごゆっくりとおくつろぎ下さいませ。」
「はい。」
「それと飲酒は控えて頂きますようお願いします。」
アルコールの臭いでバレてしまった。
「わかりました。」
「それでは失礼致します。」
マイコが行ったあとユメは枕を壁にぶつけてまた八つ当たり。
「あー、もうなんであたしのやることにいちいちケチ付けんのよ。」
これは現実である。
「こいつは恐れ入ったぜ。今でも夢物語は続いているのかよ。」
ミーユはソージたちが見ている夢をスクリーンの前で映画を見るように楽しんでいる。
ユメの能力の研究が進めばあるいはユメの能力を無効化できるかもしれないのだ。
「どうだねミーユ君なんとかできそうかね?」
「どうにかって言っても俺の夢授与の能力は相手に自分の夢を見せるだけだからな。」
ミーユは考え込む。
「ユメは強い能力者だ。俺が太刀打ちできるかも不安だしね。」
「そうか。やはり研究を進めるしかなさそうだな。」
「できることはするよ。」
ミーユはクスっと笑うととんでもないことを口走る。
「あのさ目覚めさせる事はできないの?」
「何を言ってるんだね?」
ジロウはミーユの胸ぐらお掴み鬼のような剣幕で睨む。
「いいか、恐ろしいのだぞこの女は?」
「ジョーダンジョーダン。怒るなって。あははは。」
しかしミーユは直接ユメと戦いたかったのである。
自分の能力がどこまでユメに通用するかを試したかった。
今はまだ冷凍睡眠状態にあるソージたち。
この状態でならユメの能力は他の者に影響を及ばさない。
もしもユメを自由の身にしたのならば三年前の悪夢が蘇るだろう。
「いいかミーユ、バカな気は起こすなよ?」
ジロウはミーユに念を押す。
ジロウが行った後ミーユはユメに向かって指をピストルのように構えて撃つ真似をする。
「バーン。こんなの殺せばいい話じゃねぇか。研究者達にとって夢の能力ってそんなに大事なもんかね?」
ミーユが去ったあと何者かが研究室の扉を開ける。
「くくく、夢の能力者さまがお眠りのようだね。起こしちゃおう。」
冷凍睡眠装置のフタは開かれた。
状況は危険度レベル5に達する事態となる。
お目覚めですか姫君。」
「お前は?」
「あなたを目覚めさせた王子です。名はタクです」
ユメを目覚めさせたのは、ユメに一目惚れした研究員の一人タクだった。
「ボーとする。」
「それは当たり前でしょう。三年間も眠りっぱなしだったんですから。」
「三年間?」
「はい、あの日討たれたのはただのビタミン剤。」
「あー、だんだんと思い出してきた。そうだソージを不幸にしなければ。」
ユメは眠っているソージの体を揺さぶり起こそうとする。
「姫君そんな男より僕を見て下さい。」
タクはユメを振り向かそうとした。
「ウルサい。どけ。」
「姫君?」
その目は決して見てはいけなかった。
ユメの見開いた目は決して…
「うあー。」
ソージに続きユート、マイコも目覚める。
そしてユメを見たが時すでに遅し。
最初の犠牲者はタクだった。
「ユメ何をした?」
「強制永眠。こいつは永遠に起きれず恐怖の夢を見続ける。」
ユメが三年間眠り続けた事で身につけた新しい能力。
「強制永眠」ユメが大きく目を見開き相手に瞳を見せることにより強制的に仮死状態にし、恐怖の夢を見続けさせるのである。
「俺たちにもそれをするのか?」
「いいや、お前たちはもっと恐怖を与えて現実の世界で不幸に陥れ最後は殺害してやる。」
そういうとユメは研究室をゆっくりと出ていこうとした。
管理室の監視カメラは一部始終をとらていた。
それに気づいたのはジロウ。
すぐさま麻酔銃を手に取り研究室にむかう。
「待て。もう一度眠ってもらう。」
ジロウとガードマンたちは一斉に銃をユメに向ける。
「無駄。」
「いけない目を見ちゃだめだ。」
ソージがユメの前に立ちふさがった。
「はっ。」
ソージはユメの目を見てしまった。
しかしソージにはなぜか効果がなかった。
「能力者同士だと効果はないようだな。」
「撃てー。」
ジロウの号令とともに麻酔銃は撃たれた。
しかしユメはソージを盾にして全弾かわす。
唯一の希望は人類自ら失っていしまう形となった。
「この為にソージ君を生かしておいたのだが…ソージ君を処置室に連れていきすぐさま麻酔抜きの処置を行え。」
ぐったっりと倒れたソージに近寄るにはリスク高すぎた。
近くには悪魔がいる。
誰一人として近寄ろうとはしなかった。
いや、動けなかった。
「なにしてんだよソージが死んじまう。」
ユートがとっさにソージをタンカーにのせる。
そのすきにユメは研究室を飛び出した。
麻酔銃の弾はもうない。
「じゃあな。」
再び人類の敵ユメは動き出す。
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