第5話:闘技場
「協力して欲しい事とは・・・子孫繁栄なのです。」
あまりに衝撃的なお願いに、会場がざわめく。
もちろん俺も動揺して、アリアの方を見るが微動だにしない。
「ミリアたんどうゆう事でござるか?」
「黙っておれ。これから説明するじゃろうて。」
お供の女性達が場を治めようとして大声を張り上げる。
「静粛に!静粛に!女王様のお言葉はまだ終わってはおりません!」
「質問があれば後で聞きます!今はお静かにお願いします!」
ざわついた会場も少しづつ静まり、みんなの視線が女王様に注がれる。
彼女は静かになったのを確認し姿勢を正し話し始めた。
「我が国は全員女性しかおりません。子孫を残すために、勇者様の力が必要なのです。」
予想外のお願いだったが、女性から好かれた経験がない俺からするとまんざらでもない。
他の勇者達も多少ざわついているがそこまで否定的ではない雰囲気だ。
「ただ・・・私達は長命であるがゆえに、人口を増やしすぎるわけにはいきません。ですから、協力してもらうのは一人です。」
(一人か・・・選ばれた奴はハーレムだな。)
漫画やアニメならここで選ばれたりするのだろうが、俺には主人公属性はない。
「残念ながら私達には勇者様を選別する力はありません。ですので、戦いあって1番になったにお方にお願いしようと思っております。」
その提案に一瞬静まり帰ったが、言葉を理解してくるとざわつきだした。
「お・・・俺達に殺し合えっていうのか?」
「本気じゃないよな・・・。」
「お願いだから参加しなけりゃいいだろ。
「しかし、周りを武装した集団で固めているぞ・・・。」
謁見場に不穏な空気が流れ始める。
「誤解しないでください、勇者様には一切危害を与えません!戦うのはあなた達が召喚したパートナーです!」
どういう事かわからない。
「ちゃんと説明するので静かにお聞きください。」
それから一人を選抜するための細かい説明が入った。
説明を要約すると、
・戦うのは召喚したパートナーで勇者は後ろの安全地帯からの指示のみ。
指示は各自所持しているスマホにて通話。
・戦いは一騎打ちでトーナメント方式。
・場所は闘技場にて国民が見ている中で行う。
・勝敗はどちらかの勇者様が降参するまで行う。
パートナーには降参する権限はない。
ただ、回復術士が常時待機しているので安全面では問題ない。
という事らしい。
「スマホで通話?」
気になってスマホを確認して、闘技場モードを選ぶとパートナーとのみ通話が出来るようになっていた。
「ふむ・・・この世界に来て実装された闘技場モードの事前説明とだいたい一緒ですな。やはりゲームとこの世界に繋がりが・・・。」
女王様が一通り説明を終えると、場は少し治まったが不明点が多い。
俺が質問をしようとしたが、先に髪を金髪に染めたイケメンが手を上げた。
「何点か質問したいのですがよろしいでしょうか?」
「ええ、どうぞ。」
「まず、このトーナメントに参加しないというのは出来ますか?もし参加しなかった場合はどうなりますか?」
「参加しない場合は元の世界にお返しします。デメリットは何もありません。」
「参加して負けた場合はどうなりますか?」
「同じです。元の世界にお返しします。これもデメリットはありません。」
「では、最後に・・・トーナメントで1番になった場合、あなた達に協力する事になりますが、それに対するメリットがないので、別に褒美とか出してください。」
その発言に周囲はざわめく。
「さすがイケメンだな。俺みたいにモテない人間は、ハーレムと言うだけで飛びついていたが、たしかに無理やりこの世界に連れてこられて戦わされ、彼女達に協力させられて何も利益がないなんて馬鹿みたいな話だ。」
「むう・・・たしかにもっともですな!拙者はミリアたんとラブラブ出来る!と浮かれていて失念していたでござる!未熟!」
女王様は渋い顔をしている。
「なるほど、たしかにそうですね・・・では私達が出来る範囲で願いを1つだけ聞きましょう。」
「わかりました、この場にいる人たちと勇者達全員が証人ですから約束を破らないで下さいよ。」
「もちろんです。女王として約束を守る事を誓いましょう。」
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