第6話:戦闘準備

中世のコロッセオを思わせる円形闘技場の中心で、俺達は見世物のように観客からの視線を浴びていた。

優勝賞品に目がくらんで参加してしまったが、他の者もそうらしく結局全員の32名が参加していた。

観客席を見ると、ほとんど埋まっており注目度はかなり高いようだ。


(こんなに注目されたのは生まれて初めてだ。)

緊張の中、トーナメント表が発表される。

負けたら終わりなので、弱い対戦相手に当たれば勝ち残れる可能性はある。


「えーと・・・俺の一回戦の相手は、シュナイダー?・・・ってダメージランキング1位のプレイヤーじゃないか・・・。」


残念ながら俺にはリアルラックはなかったようだ。

念のため導寺も確認したら、彼とは最後の優勝戦まで互いに勝ち残れないと対戦しないようだ。

観客席上段の特等席に座っている女王が開催の挨拶をする。


「国民たちよ、これより我が国を救う勇者を迎え入れる儀式を行います!」


全員女性のはずだが、そう思えないほどの音量と激しい言葉で、観客のボルテージは最高潮だ。

俺はその熱狂ぶりにただただ萎縮していた。


◇◇◇


「アリア、問題なく聞こえるか?」

「はい、問題ありません。」


俺達は次の試合に向けて、控室でスマホが通じるかのチェックをしていた。

頭にも鎧を着こんでいるアリアにどう通信するのかと思ったが、俺はスマホで話すがパートナーは何も付けなくても頭に直接聞こえるような仕組みになっているらしい。

魔術ってやつらしいがどういう仕掛けなのかは全く謎である。


俺の試合は3番目なので、前の試合を観戦したいのだが・・・それでは対策されるという事ですべての試合が終わるまで観客席での観覧は禁止らしい。


(となるとゲームでの知識を頼りにするしかないか。)


「一回戦の相手シュナイダーのパートナーは女戦士カリナだ。高い攻撃力と連続攻撃で単純に強く、トップ10に使用者が5人もいるほどの強キャラだ。その中でもナンバー1という事は重課金装備とレベルアップのランダム能力アップを厳選した高いステータスを持っているに違いない。」

「君沢様の言っている事はよくわかりませんが、彼女の事は私も知っています。誰も寄せ付けないほどの剛の者ですね。しかし、彼女は軽装のため攻撃をしのげば反撃のチャンスはあります。」

「たしかに守備力はあまり高くなかった・・・対戦なら勝てる可能性はあるかもしれない。とにかく守りに徹してスキをついて攻撃してくれ。」

「承知しました君沢様。」

「すまないが、本名読みはこれからはやめてくれ。ほかの連中に聞かれてリアルばれはまずいから、これからはゲーム内の名前【ショーグン】で頼むよ。」

「承知しましたショーグン。」











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺はSSRなのに不遇な女騎士と異世界無双する 国米 @kokumai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ