第4話:女王エルザリオ
俺達は街の中央にある、豪華な城の謁見の間に来ていた。
ゲームでは女王様に謁見する一部分しか表示されないため小さな印象があったが、かなり広い場所だった。
造りとしてはパーティ会場のように一段高い舞台があり、その中央に玉座が配置されている。
舞台下は広く俺達異世界から来た数十人の勇者達が十分入るようになっていた。
ただパーティと違い、壁側には武装した兵士が規則的に配置されており物々しい雰囲気だ。
「とりあえず謁見の間に来たが、待っとけばいいのかな?」
「そうじゃな。」
「ミリアたんが言っているので待つしかないでござる。」
「・・・。」
アリアは服屋で話して以来まったく口を聞かなくなってしまった。
言いたくない事だったのだろうか?
「あ~そういえば、この国って若い女性しか見てないけど、これが普通なのかな?」
「そういえばそうでござるな。しかしゲームでも若い女性しか出てこないので違和感は感じませぬ。」
たしかにゲームの世界なら男や年寄りなど排除できるだろう。
しかしここが現実の異世界ならそんな事ありうるだろうか?
「この国には女しかおらぬ。しかも長命種で不老なため若い姿のままじゃが実際若くない者はいっぱいおる。」
「不老不死ってやつなのか?」
「不老ではあるが不死ではない。長命なだけで寿命はある・・・ただし肉体は若いまま死を迎えるので老いる事はない。」
「なるほど!それではミリアたんは本当にロリババアって事ですな!素晴らしい!」
(不老長寿だから女だけでも大丈夫・・・なのか?)
考えごとをしていると、「バーン、バーン!」と大きな音が鳴り「女王様のおな~り~」という口上と共に、舞台袖からお供を連れた女性が厳かに歩いてきた。
その女性は金髪碧眼で白く豪華なドレスを着ており、ゆったりとした歩きから玉座に座るまでの動きは優雅そのものだ。
「これから女王様から勇者候補にお言葉がある。心して聞くように!」
会場は少しざわついていたが、お供の女性がよく通る声で言葉を発した事により、場は静寂に包まれた。
女王様は静かになった事を確認し、俺達の顔を一通り見ると満足したように話始めた。
「私はこの国の女王エルザリオと申します。まずはこの国のためにお集まりいただき、感謝の意を表させていただきます。」
女王様は座ったままで、深く礼をした。
「この国は未だかつてない危機に直面しております。そのため、勇者様に協力をお願いしたいのです。」
(たしかゲームでは国への侵略をもくろむ魔王討伐だったな。)
おそらく間違いないだろう。
彼女は目を伏せて、言いにくそうにしていたが、意を決したように俺達に向き直ると想像外の事をお願いしてきた。
「協力して欲しい事とは・・・子孫繁栄なのです。」
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