「鳥の飛ばない天地の挟間」25



 それが、出来ていたのかどうかは、もうわからない。




 浅葱の空を見上げていたのは、二月二十日、―――。


 藤堂は、遠浅の海を望む砂浜に横たわり、浅葱の空を見上げていた。


 藤堂が海を見ていたのは、二月二十日、―――。



 それは、―――。




 藤沢紀志が、海を見ていたのは、――――。


 そして。



 容赦の無い声が、夢を醒ます。

「おまえは、もう目覚めているな?」

 その声の、非情な響きに。









 鳥が、――――――。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る