戻りたい記憶

「さてと…行くか」


国保や年金などの手続きをしに役所へ。


明後日には会社から色々な書類が届くから

暫くは気が休まらないな…。

まぁ仕方ない。


「お母さん、行ってきます〜」


母「行ってらっしゃい。気をつけてね」


「お母さんもね」


母「はい。」



お母さんに挨拶し家を出ると

青空が広がり満点の眩しさを誇っている

太陽が「こんにちは」 なんて挨拶してきた。


今の私には太陽の光さえも

本当に眩しいほどだ。


こんな時くらいは雨が降っていたらドラマチックに思えたけどそうはいかないのが現実。


よくドラマなどで悲しい出来事が起きた時に限って

雨が降ってる描写があり、よく見る。


だが、どうだろう。


私が今、見上げる空は晴々としていて清々しく思う程に太陽が出ている。


理想と現実が余りにもはっきりとしている。


もしくはまだまだ現状以上に悲しい出来事が待っているから、今晴れてるのだろうか?


どちらにせよ天気のままに…だ


そんな事を考えながら歩いてると

懐かしさを覚える物が目に映る。


私の青春時代と言える日々を過ごし

もう一度やり直したいと思う。


「…西小学校だ」


あの頃は本当に毎日が楽しくて何も考えずに

自分が自分でいられた。

勿論、揶揄いや嫌がらせ行為は受けていたけど

どんなに辛くても乗り越えられた。


多分それは私も周りの子達も純粋で素直で

まだまだ物事への関心、吸収力が少なくて

経験や知識量が皆無に等しかったからなんだと思う。


小学校の先生方も皆、時に厳しくもあるが

寄り添ってくれていた。

だから私も気兼ねなく打ち明ける事が出来ていた。



「ほんと懐かしいなぁ…」




小学3年生までは高くて登れなかったけど

小学4年生の時に仲良くなった子の影響で

てっぺんまで登れる様になったジャングルジムや


どんなに練習しても出来なかった鉄棒も


毎週月曜日の朝に行われる全校集会で校長が挨拶する時の司令台やら何もかもがそのまま残っている。


あの頃の映像が一瞬で蘇るかのように脳裏に浮かぶ。


成熟し始めた小学5・6年生の時は特に下校時間を過ぎてもランドセルを校庭の片隅に置いて仲良くしていた子達と鬼ごっこをしたり

教室に残って後ろの黒板に落書きをしたり

休み時間中に丸つけ作業をしている先生と雑談に近い会話をしたり…


本当に走り回ってたな。

あの頃の様に無邪気に過ごせたらどんなに楽なんだろう…。


「先生に会いたいな…」


どうしてだろう。


目まぐるしく働いていた時は会いたいなんて考えたことなかったのにな。


戻れる筈はないけど

唯一の青春時代と言える小学生の頃に戻って

全てをやり直したい。


傷つけ傷つけられたりしたし

許されない事もしたりした。

それでも、、夢でもいいし

やり直せた所で現状は変わらないけど


今の自分よりはマシな気がする。



無理な理想ばっかり並べて

ただの現象逃避にすぎないとしても



「…戻りたいな。小学生の頃に」


そう思う程、私が小学校に思い入れ深いのは

25年間で唯一自分自身を曝け出しいられたからだろうな。






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