第22話 梢
梢は、
母は、離婚後育児放棄の状態だったけど
姉妹の中でも、一番下の梢を特に可愛がった…
だから梢は、詩に付いて施設に来ることになったことを後悔している時もあった。
今のホームに来ると同時に、詩は高校生になって
違うホームに移ったから、寂しかったと思う…
でも、梢は周りの子に合わせて
揉めることもなく、上手に生活していた。
梢は、
いつも夏と一緒に、洗濯を干すのを手伝ってくれた。
私が、食器の洗い物をする時に
すすぎが完璧じゃないことがあって…
よく詩に
「先生、まだ泡残ってるよ」
と注意されていた。
そんな詩がいなくなって…
今度は、梢に
「先生、泡ついてるよ」
と注意された時は…
可笑しくて…
「詩にも、良く言われてたんだよ。姉妹だね」
と笑っていると…
梢も…
「マジでー」
と笑った。
梢は、学校の話をよくしてくれた。
嫌なことがあると…
夏と一緒になって
「先生、聞いて」
と言ってくる。
カウンセラーの先生が気持ち悪いとか…
嫌なことを言われたとか…
それから、私が学校の懇談に行くことになって…
先生から
「いつも、紬先生の話は子ども達から聞いてますよ。よく子ども達の話を聞いてくれてるんですってね」
と言われて…驚いた。
「あの子達、すごく助かってるみたいです」
そして…
カウンセラーとの話を聞かされた。
カウンセラーさんは、週に1回来るのだけど…
その先生は口が悪いらしく…
やってもないことを疑われて…
怒られたそうだ。
それも、腕をつかまれて…
怒鳴られたと…
担任の先生も、前からそのカウンセラーさんのことは
気になっていたそうで…
校長先生に、それを訴えたけど…
カウンセラーは変更しないと言ったそうだ。
私は、他のホームの先輩に相談した。
すると、先輩は園長に相談してみたらどうか…
と言ってくれたので…
私は、園長に相談した。
園長は、校長先生と話してくれると言ってくれた。
担任の先生にも、そう報告した。
通常は、ホームのリーダーが懇談に行くことが多いのだけど
私がいた所のホームリーダーは、やたらと私を懇談に行かせた。
だから、担任の先生も私をホームリーダーだと思っていたらしい…
梢は、詩と同様に
私を慕ってくれた。
梢は、父が亡くなった時、詩よりも
あっけらかんとしていた。
母の元に帰省するようになって…
送り迎えをする母に会うようになった。
愛想の良い人で…
パット見は、家が汚いとか…育児放棄をするような母には見えない。
父が、亡くなった時に
子ども達に残した父のお金は、母が管理していると児相の人に聞いた。
それが、大丈夫だろうかと…児相の人も不安そうだった。
梢が、中学生になった時には
詩は、里親さんの所に移っていた。
詩が、まだ高校生のホームにいた時は
運動指導で会うこともあったから…
姉妹は、いつも一緒にいた。
でも、里親さんの所にいると…
連絡もあまり出来ない…
寂しいだろうな…
長期休暇で帰省する時には
姉妹は会えているのだろうか…
詩は、母の元に帰りたくないと言っていたけど…
梢は、母の元に帰りたいと言っていた。
早く、お母さんが自立して…
家族、揃って生活できる日が来ますように…
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