第14話 優
優は、母の養育困難で、兄2人と妹と一緒に施設に来た。
優は、知的障がいがあるから支援級に行っていた。
ホームでは、色んな子に気を遣って生活していた。
率先して洗い物をしたり…
配りものをしたり…
優の母は、数年前にあった災害で亡くなった。
母は、もうすぐ再婚する予定で…
施設を出る予定になっていたそうだ。
今は、祖父母とたまに会うくらい。
その祖父母も、高齢だから
面倒見られないと施設に残った。
それと…優たちの父が、祖父母の家を知っているらしく…
探しに来るかもしれないという理由だった。
祖母の話によると…暴力をふるう父らしい。
優は、よく鼻血を出す…
しかも出たら、ビックリするぐらいの量だ…
耳鼻科に行って検査をしても
どこも悪くないと言われる。
優には、冗談が通じない…
冗談を言うと本気で怒る。
でも、それが可愛い…
優は、お母さんから貰ったものを大事にしていた。
職員が預かるボックスに大事に入れて…
時々、見せてくれた。
お母さんの写真も、よく見せてくれた…
いつか、お母さんが迎えに来てくれると思っていたのに…
お母さんが、亡くなってしまって…
祖父母も、高齢で次第に帰省も出来なくなっていった。
優は、おしゃれな子だけど…
体温調整が出来ないから…
服の感覚がおかしい時がある。
でも、ちゃんと注意すると…
聞いてくれる。
優が中1になってから
上の兄が、性問題を起こして…
違う施設に行ってしまった。
その問題は、大問題となった…
男子ホームで起こった、性の問題…
兄は、その中心人物だったのだ。
どうして兄が、施設を変わったのか…
優は、詳しくは知らないけど…
何か問題を起こしたんだろうと自分で言っていた。
優は、妹と一緒に支援級に行っていたけど…
学力は、妹の方が上になってきて…
寂しそうだった。
優が、一度だけ
他の子の漫画を勝手に自分の部屋に持ち込んで
読んでいたと問題になったことがある。
でも優は、謝り方が分からない…
謝ろうと言っても、なかなか謝らなくて…
反省文の処分となった。
反省文になると、外出も出来ないし…
行事があっても出られない。
施設では、季節に合わせて…
色んな行事がある。
それに出られないと言っても
優は、なぜか謝らなかった。
施設では、誕生日になると
給食の人が、ケーキを作ってくれる。
そして、朝ご飯の時に放送をする。
「今日は、○○さんの誕生日です。おめでとうございます」
それが、流れると…
みんなが拍手をする。
そして、夕ご飯の後ケーキを受け取りに行って
今度は、ホームで
ハッピーバースデーの歌をみんなで歌って
ケーキのろうそくを消す。
そしてケーキと一緒に写真を撮る。
あの時の、嬉しそうな優の顔が忘れられない…
すごく、嬉しそうだった。
この日だけは、みんな褒めてくれる…
それが、優にとって嬉しかったんだと思う。
優は…
おそらく、高校は支援学校に行ったと思うけど…
祖母が、電話の時に言っていた。
「あの子は、母親に似てオシャレな子だから、服飾の学校に行かせてやりたい」
優は、嫌がっていたけど…
優は、祖父母から
間違いなく愛されていた。
そして、母からも愛されていた。
どうか…
優が、落ち着いて暮らせる環境になりますように…
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