アマテラス
第21話、アマテラス
クルックの失踪を受けて、空母”キサラギ”と飛行艇”イザナミ”の砂漠行きの日程が早まった。
今キサラギは、レンマ王国とヘタリナ王国の国境になる、”マギノ河”の上空を飛んでいた。
この川を越えると、ヘタリナ王国である。
そのままヘタリナ王国を、北西に横切った先に砂漠地帯があった。
「大きな河ね」
「ああ、この河がそのまま国境になっているんだ」
イオリとファラクが外部通路で話しをしている。
「こちら、ヘタリナ空軍所属、リリーマルレーン級飛行艦、”リーガルリリー”です。 案内します」
リリーマルレーン級高速爆撃飛行艦だ。
オスプレイを巨大化してまん中に流線型の気嚢(風船)をつけた形をしている。
ブリッジは、鳥のくちばしに丸い窓がついている感じである。
河をこえた辺りで待っていた。
「あの飛行艦は、カティサーク工廠製だよ」
「レンマ王国から輸出してるんだ」
「へええ」
ファラクは、あまり興味がなさそうである。
”キサラギ”は”リーガルリリー”の後をついて行く。
やはり、ヘタリナ王国内で未確認の飛行艇が、北に飛び去ったとの目撃証言があった。
約二日ほど飛ぶと、砂漠地帯が見えてきた。
砂漠に入口にある、”モント”の街に着地する。
”アールヴ首長国連邦”の入国管理のためだ。
「さてと~」
「指定された地点はどこ~」
艦長室で、メルル―テがイナバに聞いた。
「大体、ここだね」
イナバが暗号化された手紙を読み取り、机の地図を指差した。
”モント”の街でこっそり渡されたのだ。
指定された地点は、余り街から離れてはいない。
「じゃあ、そこに向かいましょう~」
「でも合流する時間を、夜に指定されてるよ」
「じゃあ、時間を合わせましょう~」
この地点で、飛行艇”イザナミ”を、潜砂艦”アマテラス”に受け渡すことになる。
◆
空母”キサラギ”は指定された場所に、着地している。
見渡す限りの砂漠に、空には青い月が出ていた。
「まさに月の砂漠だねえ」
イナバは、”キサラギ”の島型艦橋から、メルル―テと周りを監視している。
「船は見えないわね~」
――間違ったのかしら~
メルル―テが頬に手を当てる。
その時、伝声管から
「艦長、左舷正面っ」
ザザザア
砂漠の表面が、波打っている。
長さは”キサラギ”より少し短いくらいか。
「あ、あれが」
外部通路で、イオリが驚きの声を上げる。
最初に、丸みを帯びた艦橋、次に、茶色く塗られた艦体が砂の上に姿を現す。
艦体表面の艦首から艦尾に
「……何て立派な魔紋……」
ファラクが息を吐く。
「
メルル―テが思わず声を出した。
”アマテラス”が、踊り子に導かれて、砂の中から、満月の元に姿を
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