竹取物語 そのもう一つの『月』の物語 是非読んで欲しいです
- ★★★ Excellent!!!
物語のベースは竹取物語
ですがこのお話の舞台はかぐや姫に魅いられた帝が座す宮中
そして主役は皇后『桔梗』
月の使者を遠ざけんと私情から近衛府を動かさんとする帝により渾沌とする宮中にて
皇后を始めとした内裏に関わる女性たちが、それぞれの想い思惑を胸に動き始めます
どの人物も良いも悪いも非常に人間味があり、とても楽しんで読めます
イチオシはやはり主役の桔梗
境遇からくる諦観を抱えつつも、自立した一人の女性として混乱の最中にある宮中をも超えて戦う様は、ほれぼれとしてしまいます
宮中物として一風変わった作風でありながら、非常にしっかりと作り込まれており、アイデア頼りにもなっていない
繊細で歯切れの良い描写に引き込まれる、素晴らしい作品です
視点の切り替わりもエピソードタイトルでキッチリ伝えに来ているのも好感触
最後にこれは余計かもですが、タイトルで読者に伝わる情報がないことだけが気になります
作者さんさえ良ければ、後ろにサブタイトルがあると多くの人に知ってもらえるかと思います
皆様是非お読みくださいませ!