第14話

「お嬢様、アレス王子殿下がいらっしゃっておりますが。」


あの日以来、週末になるとアレス様は私の家に来るようになった。別に用事があるって訳では無い。ただ会いに来るのだ。


『アレス様。今宵はどのような用件でいらしたのですか?』


貴族として客人を迎えるのは義務です。それがどれだけ嫌なお相手でも。

これでも王女ですから、そこの礼儀はわきまえています。


「いや、別に用はない。顔を見に来ただけだ。」


『それはそれは、それでは私はこの辺で失礼致しますね。お邪魔してもいけませんので、用事が済みましたら、使用人にお声がけ頂きますと嬉しいです。』


そういうと、私はアレス様に礼をしてその場を去ろうとしたのだが、アレス様によってそれはできなかった。


「ちょっと待ってくれ、メリア嬢。」


アレス様は私の腕を掴み、私がその場からいなくなることを出来なくしたのだ。


『なんでしょうか、アレス王子。』


「わざわざこちらに来たのだ、まだ一緒にいてくれてもいいだろう?それとも、この俺に負けそうで怖いのか?」


アレス様ってこんなに性格悪かったかしら??これが本性ってこと??

負けず嫌いの私を知って知らずか、アレス様は私の気に障る言葉をかけてくる。

私を怒らす天才なのでしょうか、この方は…


『怖い?そんなことある訳ないじゃないですか!それでは、お話でも致しましょう。』


アレス様の言葉に、冷静さを欠いていた私はこれがアレス様の罠だと気づくことなく話に乗ってしまった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る