第9話 転生
会社へ着くと部長と出社時間が被った。
俺は手短に話をした。
「これ。昨日の証拠を文字にしました。」
部長は、静かに受け取るとカバンにしまった。
部長が俺を心配そうに見る。
俺は、部長に向き直り話をした。
「途中、聞き取れないところは、記憶で補正されている部分もありますが…今日も証拠取ります。」
部長は、俺を見ながら頷き
「今日、お局さんたちに話をするよ。」
そういった後、部長は先に会社へ入った。
その日の午後、部長とお局様と上司は社長室へ呼ばれた。
いっとき帰って来る気配はなかったが、
部屋に入ってきたお局様と上司は、うつむき気力を失っているようだった。
お局様が椅子に座った途端泣き始めた。
俺や周りの奴らは驚き、そちらを見る。
お局様にわらわらとあつまる群集。
そして泣く声が静まり返った時。
俺へ向けられる視線は何とも冷たいものだった…
女子社員達は口元を隠し、ヒソヒソと何かいい始めた。
男性社員は、じっと俺をみる。
そこへ部長が帰ってきた。
俺に冷たい視線を送っていた社員達は蜘蛛の子を散らすように散らばって行った…
…俺は、お局様を見た。
憎たらしい物を見るような目…
俺は怯まなかった。
俺は、お局様へ冷ややかな視線を送った。
その後の俺は、今考えるとおかしかったのかもしれない。
俺は、お局様やらその取り巻きからの証拠を取るために会社へ向かい、仕事をこなしている日々だった。
頭から湯気が出るほど必死に生きた。
仕事でも少しづつ認められ始めてきはじめて会社も、俺へ声をかけたり、手伝ってくれたりと親切に接する人が多くなった印象だった。
だが、上司、お局一派は俺への嫌がらせをやめなかった。
そして…
全ての証拠が揃った…
俺は、安堵から気を抜いていたのかもしれない。
会社のエレベーターは、御局一派のせいで使えない。
そのため、俺は階段を使って移動していた。
2階から1階へ降りる階段を降りながらボイスレコーダーの稼働を確認するため目線を下ろした。
俺は、背中をポンッと押された。
手の感触も確認するまもなく俺の体は、階段から転げ落ちる。
俺の体がバランスを崩した瞬間誰が押したのか確認しようと体をひねる…
…俺が見たのは階段の天上だけだった。
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