第13話 皆でご飯

「そら!そら!」


 あの時の男の子は、風邪も治ってご飯も食べたら少しずつ元気になってくれた。耳もちゃんと治ってて良かったよ。片方が聴こえないだけでも、森に出た時は危ないからね。


 今は、僕の姿が見えないと名前を呼んで探し回るんだ。男の子は、金髪で深い青色の綺麗な目をしていた。血は繋がってないけど、弟が出来たみたい。それにとっても可愛いんだ!シドの小さかった頃を思い出すよ!


 あと、名前が無かったから『レン』と呼ぶことにしたんだ。学校の音楽の授業の時に知った『花』って曲を作った人の名前をもらったんだよ。


 落ち着いてからレンに聞いたけど、どこから連れて来られたか分からない。お父さんもお母さんも居なかったんだって。それ以上は聞いてもレンには難しかったみたいで答えられなかった。


 街の名前とかヒントがあれば、お家に送ってあげられるかな?って思ったんだけど、2歳になるのに名前もつけてもらえないって、ちょっとおかしいよね?


 だから無理にお家に帰さずに、レンがここに居たい内は一緒に住むことにしたよ。


「グルッ!」

「シド、レンのお守りありがとう。もうすぐご飯だからそこで待っててね」


 シドはレンの面倒を良く見てくれる。シドにとってもレンは弟みたいな存在なのかな?一緒にお昼寝したり、背中に乗せて歩いたりしているよ。


 図書室で、小さい子も食べられるご飯の作り方を読んで、レンが食べてもお腹を壊さないように注意してる。だってまだ歯が全部生えて無いみたいだし、僕とシドが食べてるお肉は無理だよね。


 靴も洋服も僕のサイズじゃ合わないから、森林大兎しんりんおおうさぎの柔らかい革で靴を作って、大桑蚕おおくわかいこ白雲綿しらくもわたの生地で服を作ったんだ。


 レンは身体が小さいからすぐに作れたよ。

 僕も身体が大きくなって、服がキツくなるごとに作ってたからもう服を作るのも慣れたものさ。


「おまたせー!さあ、ご飯を食べようか!」

「ガウッ!!」

「まんまー!!」


 レンを子供用の椅子に座らせ、食卓につく。


 今日は、シドが獲って来た大鳴鶏だいめいけいのクリームチーズシチューだよ。シドには丸々ローストした物も2羽分用意したけど、足りるかな?足りなかったら森林鹿のステーキを焼いてあげよう。


「それじゃ、いただきます!」

「グルゥゥゥ!」

「いたーます!」


 皆で食べるご飯も美味しいね!



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