第3話 オーバーキルに続くオーバーキル

『“我々には受験モンスターが待ち受けているというのだ。

我は激怒した。かの無理難題モンスターを成敗せねばなるまいと憤った。しかし、本音は違った。……………………ちょっ、あのー、あっちに行ってもいいですか?いやほんとすぐ帰ってくるんで。ほんとですよ?嘘なんかついてないですよ?や、まさかこのぼくが敵前逃亡だなんて、そんなことあるわけないじゃないですかー、やだなーあはははは。あはっ、あははは……あははっ…………。”      by 2日前のぼくの日記』





……………………。


2日前のぼくに何があったんだろう。そんなに神経をすり減らすことがあったのだろうか。いや大変だな過去のぼくも。はっはっは「受験」ひぃいいいいぃぃぃいい。


「急に耳元で言わないでよ。寿命が減るでしょ」

「思いつめた顔してたからもっと思いつめさせようと思って」

「なんて意地悪な。親友のぼくに対してそんなことしてると…………」

「そんなことよりおまえ大丈夫なの、英語」


ぐはあぁぁっっっっっっ!!!


▶600のダメージ!


▶HPが700から100まで減った!


「リスニングとか壊滅的だろ?」


ぐさあぁぁあああ!!!


▶500のダメージ!


▶HPが100から-400まで減った!


▶オーバーキル!!!!


▶  GAMEOVER  



「おまえさっきからなにしてんの……?」



▶親友から“純粋なまなざし”をくらった!


▶800のダメージ!


▶オーバーキル状態によりダメージ無効


「なんでもないよ。ていうか、なんでここにいるの?ここぼくの部屋でしょ?」

「おまえがいっしょに勉強会しようって言ってきたんじゃねえか。とうとうおまえの髪がパーマになったか?」

「そっか、ぼく誘ったんだった」


「いや、だから無視すんなよ。おれの渾身のジョーク聞けよ」




~・~・~・~・~・~・~・


理解できない言語英語を前にひとり悩んでいると隣で術式数学を解き明かしていた相棒しんゆうが話しかけてきた。

「そういえば聞いたか?おれたちが受験する高校の話」

「いや、知らないと思う。なにかあったの?」

「この前、専願のやつらが一足先に入試終わっただろ?テストがどうだったのか聞いてきたんだよ。そしたら…


『入試おつー。どうだった、やっぱムズイのか?』

『やばいどころじゃなかった…!激やば!!!』

『さすが私立の入試って感じだったよねー』

『2度と受けたくない………………思い出したくもない……』

『特に英語がラスボスって感じだった。イメージとしては倒せない魔王かな』

『それなー。むしろあんなの誰ができるんだよ』

『意味不明すぎて、あの英語理解できた人いたら師匠と仰ぎたい』


てな感じでさー。みんなめっちゃびびってた」

「………………。」

「おまえ大丈夫!?顔が真っ青だけど、えっ何どうすりゃいい?救急車か、救急車なのか?119いや110だっけ!?」

「大丈夫だから救急車呼ばないで……110は違うやつだよ…」


親友が心配そうに顔を覗いてくる。なんて爆弾を持ってきたんだ、君は。あやうく心臓が三途の川に引きずり込まれるかと思ったじゃないか。ただでさえ英語できないのにそんな情報を聞いたら、僕は、僕は……………………


「ぐはあぁあああぁぁぁぁああああっっっっっっ」

「今度は奇声を上げた!?…………ほんとに大丈夫?」

「うん、大丈夫。ところでいっくん、英語得意だよね?」

「得意の部類に入ると思うけど、優斗どうかしたか?」

「お願いだぼくに英語を教えてくれお礼に何か作るから!!」

「チョコクレープといちごパフェひとつ」

「ご注文承りましたー!!!!!」

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