第5話 ついに…………!!

月曜日の夕方。ついに明日りんごの皮むきテストだ。しかも1時間目と2時間目ぶっ続けで家庭科。それがいいのかわるいのかわからん。今考える余裕がないんだ。なぜって、今おれの頭の中ではうさちゃんりんごが暴れまわってて、それをなだめるのに必死なんだ。わかってくれ。こっちも大変なんだよ。





うさぎが収まってくれない(泣)。むしろ悪化したような…。角生えだしたけど大丈夫そ?もうそれうさぎじゃないよね、てかおまえりんごじゃなかったっけ?

あっやばい。角で頭つつき始めた。痛い、痛いよ、うさちゃん?お願いだから収まって?いやいやいや高ぶらないで?えっなんで頭つつくスピードが速くなったの?


ん?母がこっちを見ているような気が…………。うわ、え、まって。そんな目で見ないでおれ変人じゃないから……急に頭抱えてしゃがんみこんだだけだから!……もしかしてそれが変人に見えるのか?や、ちょっと、すべてを悟ったような目しないで!うさぎのせいだから、おれじゃない!おれじゃねえよーーーーー!!!!!


・・・


やっと収まった。ただのりんごのくせに戦闘能力高いとか反則だろ。

……暴君うさちゃんが収まっているうちに皮剝いとくか。





結局3玉剝いてしまった。恐るべしうさぎパワー。


~・~・~・~・~・~・~・


火曜日。テスト当日ーーーー!

おれはおれの練習の成果を信じる!!おれならできる!なにがあろうともできる!だれに何を言われてもできる!!よし、行けそうな気がしてきt「何してるの?」

「わあああああああぁぁぁぁぁっ」

「あははー、めっちゃびっくりしてる笑笑」



くそっ、誰だおまえは!……優斗ゆうと!?


「お、おはよう優斗。急に話しかけるなんてひどいと思うんだが!おかげさまで心臓がバックバクだ」

「いやーいつも以上に難しい顔してるから、何してるのかなーと思って笑」

「優斗はテスト大丈夫なのかよっ!…………そういえばおまえ、おれの敵だったな」


こいつお菓子が作れる裏切者だった!!


「そんなこと言わないでよー。またお菓子作ってあげるからさ」

「うっ。それを言うなんて卑怯だ…おれ優斗のお菓子に弱いのに!」

「あは、知ってるー」


やばい。こいつのペースに飲み込まれてる。落ち着け、おれ!



「じゃあお互いテスト頑張ろうねー!」

「……最善は尽くす」


さあ来いテスト!今すぐに!早くしないと心臓がつぶれそう!!



≪テストまで40分≫

~・~・~・~・~・~・~・


「はい、ではグループごとに呼ぶので待っている間はりんごタルトを作る準備をしておいてください。じゃあ、1グループの人はテストを行うので後ろの台に集まってください」


ついに、ついにテストが始まる!あーやばい緊張してきた。おれは最後の4グループ目だからまだ時間がかかる。大丈夫、大丈夫だ…………。


≪テストまで10分≫

~・~・~・~・~・~・~・


りんごの皮むきテストのあとにりんごタルト食べれるのはめっちゃうれしい。だけどおれは計量も包丁も鍋も壊滅的に無理だからグループのみんなの邪魔になってしまう…………。だからおれは皿洗いの達人になる!


「いっくん、緊張してるー?」

「めちゃくちゃしてる。心臓つぶれそう」

「りんごタルトは任せてよ!心置きなく全力で皮むきしてきてね!!」

「料理のときの優斗はすごく頼りになるからタルトは全く心配してない。全力で皮むきしてくる。帰ってきたら皿洗い職人になるよ」


4グループが呼ばれた。行かないと。


「うわぁ、いっくんがぼくのこと褒めるなんて明日は槍でも降るのかな…………。」


≪テストまで2分≫

~・~・~・~・~・~・~・


練習通りだ。焦らずに剝こう。


「りんごを剝く時間は4分です。他のクラスで3分でやったのですが、時間が足りなさそうだったので1分追加します。それではいいですね?よーい、スタート!」


え?4分??おれいつも剝くのにどれだけかけてたんだろう?もしかして急がないと中途半端な状態で終わる?


他の人はどんな感じだろう………。左は…中村さんか。彼女はクラスで一番家庭能力が高いからおれのような凡人と比べるのもおこがましい。右は…さらにとなりと話しながら剝いてる!?なんて余裕な態度なんだ………。


おれだけ初心者ってこと?…………急がないと。


まずりんごの種を取って、……この包丁、家のより切りやすいかも。

次にりんごの皮を…………え、剥けた。過去最速じゃないか?しかも皮がごつくない。さすがおれ。


でもまだ安心したらだめだ。うさちゃんりんごが待ってる。

りんごの種を取って。耳を切る!……よし切れた、「できた」え?


……今の声中村さん?てことは時間やばいのか?急がないといけないけどうさちゃんの耳は繊細だからゆっくり切らないと…………。


耳の端から皮がごつくならないようにゆっくり刃を差し込んでいく。まだ時間にならないでくれ。もうちょっと、もうちょっとで………………。






できた!!!あー緊張した。結構きれいに切れた気がする。過去最高作品。耳の長さもバランスいいし、ごつくなってない。よかったーーー。


途中で時間にならなかったな。他の人はどのぐらい終わってるんだろう。





あれ、切り終わってるのおれと中村さんだけ?もしかして、急ぎすぎたのか?








まじか。


~・~・~・~・~・~・~・


「テストおつかれー!どうだった、できた?」

「まあ、おれほどにもなればどうってことなかったよ」

「あはは、言うねー。じゃあタルト作るの手伝ってよ、こっちのりんごを」

「いやっ、おれは皿洗いマスターになるからっ大丈夫だ!!さ、洗い物は無いのか!?」

「……達人なのか職人なのかマスターなのかはっきりしてよ…。じゃあ、この皿たちを洗っておいて。それが終わったらフォークとクッキングシートを取ってきて」


テスト思ったよりも楽しかったな。皿洗いの次ぐらいに。あれはいい評価をもらえるだろう。中村さんからもお墨付きいただいたからな。もう不安なことはなにもない、平穏な日々が帰ってきたんだ!




りんごタルト美味しかった。さすが優斗。




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