第13話
「この絵本、小さいころからずっと読み聞かされてたんだよ。クトもだよな。」
「うん!寝る前は絶対にこれだったよね」クトは嬉しそうに話す。
「すごくきれいな絵ね。すごくきれい」
「ふふふ、ありがとう。」
母さんはキッチンから水色のキラキラ光る瓶に詰まった星屑の結晶と小さなお皿をパールのもと持っていき、そっとお皿に結晶を盛った。
「この瓶に入ったキラキラがいっぱい部屋に飾ってあったのはそういうことだったんだぁ。てっきり飾りかと思ったよ。ね、お兄ちゃん」
「うん。それを食べるの?この小さなトカゲが」
「リザーディルの栄養補給は各地の湖で取れるこの結晶なの。瓶詰しておいとも湖の水に浸せば栄養もすべて元通りよ。フロウはトカゲの姿で水に入るのが苦手で竜の姿になると不器用で取れなかったり。だから私たちが食料を調達していたの。昔はそれをいいことにリザーディル密猟者が出てきたりしたみたいで…リザーディルの歴史は本当に複雑だと思うわ。」
「それでもこうやって、人間と仲良くしようとしてくれるリザーディルは本当に心優しく素晴らしい生き物なんですね。」
メルはパールを優しい目で見つめながら話す。
「そうね」
母さんは同じようにパールを見つめにっこり微笑んだ。
「おお、パール、食いつきがいいな」
父さんも嬉しそうにパールを見つめる。
パールは囲まれながら一つずつ美味しそうに食べ、たくさんの目線を感じたパールはちょっと嫌そうにくるっと回ってまた美味しそうに食べ始めた。
「こんなに小さなトカゲがキラキラの固そうな石を食べれるなんてやっぱり竜なんだなあ。」
ベインがジーっと見つめて話す。
「ははは。ま、パールも困ってることだしそろそろ私たちもご飯を囲もう。」
「そうね、パールちゃんも、まだまだあるから沢山食べていいからね。」
そう言って母さんはにっこりパールに微笑み、皆で食卓の席についた。
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