第11話

「父さん、リザーディルを知っているの?」

ベインは不思議そうに父さんの顔を見つめる。

「知ってるもなにも…!あの絵本はレリアが作ったものだからな。とりあえず説明は後だ。このリザーディル、相当弱ってるようだな。メル、リザーディルはそこに寝かしてやりなさい。レリア!あれを用意してやってくれるかい?リザーディルがいるんだよ!」

「え、あの絵本が母さんの作ったもの?」

ベインはきょとんとしている。

「え?リザーディル?ちょっと待ってね」

少しバタバタと動き母さんもパールの近くに来た。

「それにしてもまたリザーディルと出会う機会があるなんてなあ。メル、このリザーディルとはどこで出会ったんだい。」

「三日前に隣町の林の小さな小穴で怪我をしていて…リザーディルのことよく知ってるんですか?」

「ああ。昔にリザーディルと一緒に過ごしていた期間があったんだよ。フロウと言ってね、この森で出会ったすごく元気でいたずらっ子で真っ黒のリザーディルだったよ。レリアも一緒に戦士として旅をしていたんだ。だが…ある日突然姿を消してしまったんだ。僕やレリア、そして他の仲間も、最初はずっとフロウを探していた。けれど力も徐々に弱まって今はもう力も無いんだ。」

「それでこの森が好きだから。ってここに家を建てたのか…」

「ははは、そういうことだ。」

「母さんは巻き添えを食らったのかと思っていたけど実際は母さんもここに住みたかったんだね。」

「ふふふ、そうね。実際にはすでに小さな家はあったけど、あなたが生まれて、増築もかねて当分は町のほうが住みやすいだろうって町にいただけなの。今でもフロウがフラッと帰って来てくれるんじゃないかって考えるときがあるわ。」

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