第7話

「この子の気持ちがわかったってこと?けれどあの時力を出せなかったら死んでいたわよ。」


「はは、でも何とかなったね。」


「私はメルシエ・アヴリーヌ、メルって呼んで。

三日前に隣町の林の小さな穴の中で熱がこもって眠っているパールを見つけたのがパールとの出会いだったの。

はじめはリザーディルの生き残りだったなんて知らなくて家に連れ帰って様子をみていたの。

そしたらパールが目を覚ますと同時に私の全身が光だして…治癒能力をもらっていたみたい。」


「三日前?このリザーディルは人を襲わないから信じろって!」


「あ、そうだ。あなたもケガしてるわよね。治してあげる」

そう言ってメルはベインのほほを両手で挟み〔ヴィフルポカルム〕と唱えた。

「で、あなたは…え、照れてる?」

ベインはボソボソとこんなの照れないほうがおかしいって…と、気を取り直して返事をした。

「ありがとう。僕はベイン、ベイン・トレス。この森の近くに家があるんだ。

母さん達もご飯の支度してくれてるしおいでよ。食べながら話そう。イルプムは眠ってるみたいだけどそっとしておいても闇の力に襲われないかな?」


そういってベインがイルプムの鼻筋を撫でるとイルプムの目がそっと開いた。


「起きたんだね、さっきはごめんよ」

そう言うとイルプムは目をすぼめながらベインの手がイルプムの頭に移動するように誘導しそっと伏せた。


「許してくれるのか?君は優しいんだね。もうあんな煙に操られたらだめだよ。って言っても難しいよね。」


そういってイルプムの大きな頭をわしゃわしゃと撫でた。

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