【7】「ひぃ〜ん!!」
「ひぃ〜ん!ちきしょ〜!!!」
泣きっ面を晒して、トボトボと森を歩く。
その姿は、さしずめ成人の迷子…いや、性人の迷子か?
あ〜!くそ!!何でこうなるんだよ!!
そりゃ……少し強引……いや、かなり強引だったと思うけど。
しょうがないだろうよ!!!
だって、あんなに受け入れてくれたじゃないか!!
誰だって、あんなにアプローチして、受け入れて貰えれば
有頂天になって大胆なマネするさ!!!
勘違いさせてんじゃねーよッ!!
くそったれ〜ッ!!!
………いや…クールに考えてみよう、アキヒロ。
もしかして…全部勘違いだった?
一人で浮かれて気付かなかっただけで、
もしかして全部、空回りだったのかも。
そうだ……よく考えたら…ヒーリアは怪我してて…
一人じゃうまく何もできなくて、頼れる場所もあそこしかない。
うわ〜……死にてぇ〜
「うぉ〜!!!誰か俺を殺してくれぇ!!!」
「お前…よりにもよって
それを私の前で言うか?」
突然。木の幹から現れた人間と、がっつり目が合う。
それは暗殺者のミミナミだった。
「うわわーっ!!!ちがっ!違う!!
そういう意味で言ったんじゃないんだ!!」
「そんなに色々な意味があるか!!
さぁ!!ようやく見つけたんだ!!
大人しくしてもらおう!!!」
「ち……ちっきしょぉ〜ッ!!!
わかったよぉ!!殺せよぉおッ!!!」
「え?」
「もう殺せばいいだろ!!
やっちゃいなよ!!!
もういい!!死んでやる!!死ねば良いんだろぉ〜!!!」
「ちょちょ!どうした!?
何か嫌な事でもあったのか?
そんな…自暴自棄になるな!!……話聞くぞ?」
「うるせーっ!!
お前に慰められる筋合いは!!ねぇんだよ!!」
「こらっ!!自分の命を粗末にするもんじゃない!!
命は大事なんだからな!!
たったひとつしかないんだからな!!」
「おめぇーが言うなッ!!!
あとベタすぎて心に響かねぇんだよ!!」
「……そんな…強く言うな……少しツラい」
「何だおまえ!!
障子メンタルかよッ!!!」
「ひぃ〜ん」
「嘘だろこいつ…な…泣くなよ」
「スキありッ!!」
「うぉおお!!いてー!!
何すんだ!!スネを蹴るな!!スネを!!!」
意味がわからな過ぎて……
なんかもうセンチメンタルな雰囲気じゃなくなったわ。
それに、色々めんどくせーから、こいつに剣渡して帰らせよう。
この感じなら殺されたりは、しないだろう。
もう。神様とか、勇者だとか、どうでもよくなってるし。
それよりも!!
ヒーリアと仲直りして!もう一回チャレンジだ!!
そうだそうだ!!あの調子なら、あと数回言い寄れば
「仕方がないなー乳房を触らしてやろう」とか言ってきて
いちゃいちゃ出来るかも!!
……今更だけど、おっぱいの事『乳房』って言うの…なんかやだなぁ。
「なぁ、ミミナミだっけ?
あの勇者の剣やるからさ、帰ってくんねーかな?
命助けて貰う代わりにさ」
「うーむ。
剣さえ貰えれば、命令は達成できるからな。それでもいいか…
主には「人はあまり傷つけるな」と固く言われているしな」
「……なら殺そうとするなよ」
ほんとバカだなこいつ。
————————————————————————————————————
「ただいまー」
ほんの30分程度で、トンボ帰りしたので若干気まずいけど、
そう言うネガティブな感情は、だいたい性欲がなんとかしてくれる。
ヒーリアとまた乳繰りあえるのなら、
プライドなんか簡単に捨てられる。
不思議なもんだよなぁ。
そんな俺を見たヒーリアは……
「ひぃ〜ん!!…もう…帰ってこないと思ったんだぞ〜!!」
泣き喚いていた。
「ごめんごめん!!
りょっと取り乱したんだよ!!
それよりも…なんか……色々あってさ。
暗殺者と仲直りしたから連れてきたわ」
「いやいや……何がどうなったらそうなる?」
確かに。
…
あ〜!ミミナミがバカって事で丸く収まらないかな〜!!
さっきからバカと性欲に、希望を託し過ぎか?
「ふんッ!!このブ男の欲情する下女とやらは貴様か?
さぞかし、ふしだらな女なのだろうな!!………あっ」
「……………………」
「……………………」
ん?…なんだこの、変な間。
「ミミナミ。今、私の事を『ふしだら』と言ったのか?」
「ぃいい!!いえ!!決してそんな事はありません!!!」
「いいや、確かに聞いたぞ」
「す…すみませんでした!!
どうかお許しください!!
ヒーリア様!!!」
……えっ…なに?…こいつら知り合いなの?
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