第73話

3月の末に新しい下宿人がやって来た。

高岡輝喜である。

春風高校に入学が決まっていた。

まだ15歳だ。

中学2年の時に両親を事故で亡くし、親戚の家にいたが、居心地が悪いので下宿を希望したのである。

その事情は大家だけが知っていた。

「高岡輝喜です。春風高校に入ります。よろしくお願いします」

「よろしくね。私は大家の佐倉佳寿美。私の事はお母さんと呼んでね…… 」

と順番に挨拶して行く。


「お母さん、俺、バスケ部に入りたいんですが、帰り遅くなっても大丈夫ですか?」

「勿論、部活も勉強もしっかりやるんだよ。晩御飯は午後7時だけど、みんなバイトや仕事があるからね」

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