第44話

奈緒がさくら荘に遊びに来た。

表向きは中間テストが近いので勉強に来ているが、本当は瑤の顔を見に来たのである。

「勉強お疲れ様」

そう言うと瑤が部屋に入って来た。

「お口に合うか分かりませんが」

お盆に乗せたカツ丼と味噌汁をテーブルの上に置いた。

「うわぁ!美味しそうです!」

奈緒は思わず歓声を上げた。

「これ、あなたが作ったんですか?」

「はい。熱いうちに食べて下さい」

瑤はそう言うと部屋から出て行った。

「ちょっと、心結!今度の人は大当たりよ!超イケメンじゃない!あの俳優の人よりもカッコいい!」

「別に顔で選んでるわけじゃないからね」

「本当にー?」

奈緒が疑いの眼差しを向ける。

「実はお母さん、ナイスと思った」

「でしょー。あれは相当イケてる」

「ちょっと、奈緒には北見君がいるじゃない」

「イケメンに憧れるぐらいいいじゃん」

心結と奈緒はカツ丼を食べた。

「美味しい!そういえば調理師専門学校に行ってるんだよねー」

奈緒は大喜びで食べている。

確かに憧れるぐらいいいよね……

心結は奈緒の顔を見ながら思った。

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