第45話

だがそれから奈緒は、勉強を理由にちょくちょくさくら荘に来るようになった。

「あれは瑤ちゃん狙いだな」

泉野が言う。

「高校生に興味はないよ」

瑤はあっさり答えた。

心結ちゃん以外は……

「お前のカツ丼が利いたんじゃない?」

泉野が揶揄う。

「放って置くのが一番だよ」

長谷部がそう言うと、暖希が頷いた。

「こんばんは。お邪魔しました」

奈緒が帰ろうとした時大家が言った。

「瑤ちゃん、奈緒ちゃんを送ってあげて。夜道は危ないからね」

確かに夜の9時である。

女の子が一人で出歩くのは危ない。

「はーい。じゃあ、奈緒ちゃん行こうか」

「すみません。ありがとうございます」

それ狙いなのに何言ってるんだか。

瑤はそう思った。

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