第38話

こうして春になり心結は高校2年生になった。

「新しい下宿人が来たんだって?」

「そうなの。優ちゃんが無事大学に合格して出て行ったので、新しい人」

「どんな感じ?」

「助かってるよー。料理作るのが好きで、母さんが残業で遅い時には手伝ってくれるの。と言うより私が瑤君を手伝っている」

「へえー」

奈緒は感心したように頷いた。

「瑤って言うんだ。カッコいい名前だね」


「うわぁ!この炒飯滅茶行ける!」

泉野が一口食べた後、感激の声を上げた。

「分かるかい?瑤ちゃんが作ったんだよ」

「凄く美味しいよ。瑤ちゃん」

暖希も満足そうに頷いた。

そして長谷部も中華スープを飲み干した。


「ありがとう。瑤ちゃん。お母さんを手伝ってくれて」

「俺も実習のおさらいになるし」

「そっか」

心結は柔らかな笑顔を見せた。

瑤はその笑顔を見ただけで動悸が止まらない。

「じゃあ、おやすみなさい」

心結はそのまま奥の部屋に入って行った。

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