第37話

「お母さん、何してるの?」

「部屋の掃除」

ぽっかり空いた6畳の畳の部屋を大家は綺麗に掃除し始めた。

学習机にベッドにタンス、テレビ全て揃っているので入居者は鞄一つで入る事が出来た。

「新しい人、来るの?」

泉野が廊下の壁に持たれていた。

「詳しい事は夕食の時に言うけど、この春から調理師専門学校に行く子なんだよ」

「へえー」


「大家の佐倉佳寿美です。私の事はお母さんと呼んでね。隣は娘の心結。今度高校2年生。それから俳優の春名暖希、小説家志望の泉野千織、サラリーマンの長谷部真。宜しくね」

「馬場瑤です。18歳。北島調理師専門学校に入学します。よろしくお願いします」

瑤は頭を上げると、ジッと心結を見つめた。


「あの子、可愛いなー。彼氏いるのかな?」

瑤は2階に上がると、早速泉野に訊いた。

「さあ、いるんじゃないのか?知らないけど」

「あんな可愛い子なのに興味ないの?」

「大家の娘だから手を出したりしたら即追い出されるぞ。あー見えて大家さんは厳しいから」

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